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メビウスシンポジウム in 明治大学

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明治大学国際日本学部主催のメビウスシンポジウムに行ってきました。
ああ、これは行って正解だったわ。すばらしくおもしろかったです。

これ入場無料のイベントなんですが、会場入口で「ユーロマンガ1号」を無料配布してたりして、お金払ってもいいくらいなのに逆に得しちゃったというか・・・なにこの太っ腹。
まあ、ユーロマンガ持ってますけどね。
つうわけで、ユーロマンガは無事3号も10月に出るそうです。
でもってメビウス最新画集「B砂漠の40日間」5月末に発売。
メビウスの最新アニメDVD「アルザック・ラプソディ」も5月20日に発売。

会場はそこそこ満席だったので900人くらい集まっていましたでしょうか。
自分の整理券番号を見ると、800番台・・・ ちゃんと早めに行こうよ!オレ!
それで2階席になっちゃったんですが、逆に見やすくてよかったかも。

最初はなんでメビウス×浦沢直樹?って思っていたんですが、行ってみて納得でしたよ。
浦沢直樹ってめちゃめちゃメビウス好き。つうかメビウスマニア?
今回で浦沢直樹の印象がすごい変わりました。そんな浦沢直樹のメビウス好きっぷりは後で語るとして、メビウスシンポジウムレポートをどうぞ。
写真撮影禁止だったから、思い出しながら絵を描いてレポするよ!

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最初は司会(藤本由香里)挨拶、学部長挨拶。
会場のステージはこんな感じで、メビウスには2人の通訳がついてました。
一人が日本語をフランス語にしてメビウスに伝える通訳で、
もう一人はメビウスのフランス語を日本語にして会場に伝える通訳。
このフォーメ-ションでいいですね。


まずは、スクリーンにメビウス作品を映しながら紹介。
なんかちょうど前日の5月8日がメビウスの誕生日だったようです。日本来日中に誕生日って・・・なにそれ出来過ぎとちゃうの。

そこでメビウス自身が自分を語るんですが、なんかわかったようなわからんような。
メビウスは最初は普通にBD漫画家として、ジャン・ジローの名でデビューし、特に西部劇「Blueberry」で有名に。つうか、そのへんはwikipediaでも読んでくれ。

フランスマンガ界で西部劇が一大ジャンルをほこっているというのはおもしろかったかかな。

メビウスは16歳のころメキシコに住んでいて、(その時のメキシコは20世紀だというのに19世紀のままだったとか)その時の原風景がかなり影響を及ぼしていると自身でも述べていました。後のSF作品の砂漠や荒野のイメージなどにも反映されているという。

日本の多くの作家が影響をうけたのが、メタル・ユルラン(英名ヘビーメタル)でメビウス名義で書き始めたSF作品のタッチからですが、谷口ジローはむしろその前の西部劇を描いていたジャン・ジロー時代から影響をうけていたというのがちょっと特殊かも。

「当時はBDつまりマンガは子供向けだった、そして一方でイラストレーションのアートの世界があり、自分たちはそれをつなげる作品を生み出したかった」

夏目さんがフォローしていたけど、この70年代~80年代は全世界的にマンガの革新がおきていて、日本のニューウェーブやアメリカのアンダーグラウンドコミックやグラフィックノベル、そしてフランスでも同様にマンガの青年化が進んだ時代。
日本だけみちゃうと日本だけがマンガが青年化したように思えるが、世界で同時多発的におきていた現象だったと。
「大人向けのマンガ」と言っていたけど、実際はマンガで育った世代が「成長してもいまだにマンガ好きな自分たち向けのマンガ」を描き始めたってことなんだと思う。

とまあ色々とメビウスの登場と時代背景みたいな感じで解説されていましたが、夏目さんのフォローがすごい良かったわ。
正直、最近は新しいマンガ理論とか出て来て、ちょっと一線から下がった感じもしていたんだけど、多くが「理屈」でマンガを語るのに対して、描線の違いを一目瞭然で比較してみせる手法はわかりやすくていい。
ジャン・ジロー時代の線と、メビウス後の線。
メビウス影響前の大友克洋の線と、以後の線。
鳥山明がもかなりメビウスに影響されていたかもよくわかるし、いいねえ。
文章でマンガを語るのはもうやめて、またマンガでマンガを語る夏目さんに戻って来て欲しいなあ。

はい、脱線しましたと。

そして「私のメビウス体験」つうことで、浦沢直樹も語り始めるんですが
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たっぷりと持ち込んだメビウスコレクションを自慢した後

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浦沢直樹のメビウス語りはもの凄い熱かったです(笑)

浦沢さんは一時期日本の漫画に興味を失いかけていて、ちょうどバンドもやっていたので、バンドの方に力入れるかなーと思ったところで出会ったのが大友克洋。そしてメビウスに出会い、再びマンガ熱がということみたい。
その当時の「スターログ」なんかも出ました。

その後もマジックでさらさらと描きだして、メビウス絵の解説とか始めちゃう。
たしかこんな絵。
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「この短い線の『メビウス線』は、テキトウに描いてるんじゃないんですよ。
あるべくしてある、ここに必要だから描かれた線で、不必要なものが一つもなく、すべてが必然のそういう線なんですよ!」
「頭の中にあるその絵というか線を、そのままスっともってきて置くんです
微妙なゆらいだ線、ゆらぎすら完全にコントロールして描かれる絵なんです」

まさしくメビウスは下書きや下絵のスケッチとかしないで、直接そのまま描くんですわ。
マジか・・・
真っ白な紙の上に、見えない線が見えてるんだろうなあ・・・

実際にこの後ライブドローイングということでメビウスがその場で描くんですが、これがすごかった。
もちろん下書き無し。
下書きして、輪郭とってという手法は、カメラのピントが徐々に合っていく感じですが、
メビウスの場合、線がすっと引かれるたびに「世界が生まれてくる」そんな感じなんですよ。
しかも、その描かれた線は「それ以外ありえない」という迷いの無い必然の線。

「いい絵」は描かれていく過程を見るだけでドキドキする、極上の娯楽なんだなと思いましたよ。
これはいいもの見たわ。
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たしかこんな絵。
(実は、これだけでなく、途中何度もどんどん絵を描いていたりしてたんですけどね。コマ割りの解説用に即興で描いた2コママンガとか。いっぱいいいもの見たー)

面白かったのは、やっぱりメビウスも顔というか頭から描き始めるってとこでしょうか。
(そういうとこ気になるのよー)
マジックで線を描き、色鉛筆で着色してました。

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無茶言うな~~~!!!!

そこで夏目さん曰く
「そりゃ、うまい人はいいですよ・・・・」
あ、ありがとう夏目さん・・・ で、ですよね~~~~

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その後、夏目さんがこんな絵を描きだしました。
最初夏目さんが何を言いたかったのかはわからなかったんですが、
「メビウスさんや浦沢さんのような絵もすばらしい。でも、マンガは記号で描いたって成立する。至上の高みに到達しなくたって、だれだってマンガは描けるんだ」、と言いたかったのかも、と解釈した。

メビウスが初めて日本に来たのは手塚治虫からの誘いでした。
そこで手塚治虫に会って、日本のマンガを知った時の話とかも。
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あとは、スクリーントーンの技法に感動したみたいです。


最後に、メビウスファンの漫画家の方々も会場に来ているということで、特別登場しました。

永井豪
「自分はメビウスさんを知った頃は、もう大忙しなうえ、スタイルも確立しちゃっていましたので、影響をうける余地は無かったのですが、こういう世界観を描けるのはすごいなと思っていました」
ひややっこ先生はヨーロッパに行く機会もけっこうあったので、何度かお会いしていたみたいですね。


谷口ジロー
「私はジャン・ジロー時代の絵から感銘していて、なんとかこのタッチを取り入れられないかと苦心したりしてました。同じジローという名も運命のように感じていました」
すごく思い入れが強いようで、強すぎてこの場で簡単になんて語れない・・・そんな感じでしたね。


そして最後はまさかの荒木飛呂彦
「あー、私は大友さんや鳥山さんの影響の後ろにメビウスさんがいるという世代で、だから孫弟子みたいなものですかね」
どもご無沙汰してますー、へらへら。みたいになんか新人漫画家みたいでしたよ。荒木先生(笑)
ただ最後の一言
「線だけで空間が描けるんだ!そこに大きな感動をうけました」
これがよかった。最後においしいとこもっていった感じが。

メビウスが日本でも人気あるのは、面で描くのではなく「線で描く」ところ、まさにそこなんじゃないかなーと、いい感じにまとまって終わりました。

個人的には生谷口ジローが見れたのが大きな収穫だったりして。

そんな感じで大変おもしろかったです。行ってよかった!

このレポは内容が前後してごっちゃになってたり、(思い出しながら書いているので)自分の印象が強く出て事実と違ってたりもするかもしれませんが、こんな雰囲気だったと思っていただければ幸いです。
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コメント

タッキー:
これはおもしろかったでしょうね!
メビウス氏のぐねぐねペン線からロットリング系に移行する理由とか過程とか興味があったんですが、
これに行けば解明されたんだなぁ。
あとデジタルな話がいっさい出てない様子も興味深い。
それにしても豪華なゲスト連に語られている大友克洋氏が
漫画を描かなくなってしまったのが残念です。
けぺる:
すごく興味があったのですが、休日出勤でいけなかった私が来ましたよ。
面白かったようで良かったです。
レポートありがとうございます。他の人のも見ながら脳内補完して我慢します。
スカポン太:
>ぐねぐねペン線からロットリング系に
このあたり自分も気になっていたし、質問でもあったんですが、なんだかハッキリしない回答でよっとよくわからんかったです。
そういえばデジタルの話はまったく出ませんでした。
とにかくおもしろかったですよ!

>けぺるさん
記憶で書いているので正確ではないと思うのですが、だいたいこんな感じつうことで。
もきち:
やっぱりこれは行きたかったなぁ。夏目さんの解説なら、仏事情の疎い私でもよくわかったでしょうし。
夏目さん、昔は模写をすることでその漫画の線などを分析してましたよね。
さすがに今のお歳ではそのやり方は難しいんでしょうが、私も好きでした。
スカポン太:
>もきちさん
>昔は模写をすることで
そう、あれはすごく良かった。まあ大変だとは思いますが。
ただの読者側からの分析でなく、一回自分にとりこんで咀嚼しての手法はおもしろいんですけどねえ。
この手法の後継者がいないのがなんか残念なんですよ。
最近のマンガ批評はマンガを言葉で語りすぎだ!
映画批評や文芸批評のマネしてどーすんだよー、むしろ後退してますよ!

・・・・・話がめいっぱいそれました。

このシンポジウムはとてもおもしろかったです。
ただ通訳をとおしてのやりとりだったせいか、「で、それってどういうこと?」といったよりつっこんだところまでいけなかったのが、ちょっと残念でしたかね

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