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Arthur de Pinsに会って来た

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先日日曜はBD研究会の例会があり、ゲストがアルチュール・ド・パンスさんつうことで参加してきました。いろいろお話聞けて面白かったです。
おお!ほんとに「ウィ」とか「メルシー」とか言ってるよ!!

向かって左からLES HUMANOIDES ASSOCIESのSHOGUNコレクションの編集長(名前は忘れました・・・すみません リヨン・ド・リゾンさん?)
コレクションというのは、アメリカだったらレーベルと言われる意味あいのようなもので、DCにおけるVertigo、講談社におけるマガジン編集部みたいなもんですかね。(最初よくわからなかった)
SHOGUNについてはまた後で。

真ん中の女性がソレイル(Soleil Productions)の編集のオリビアさん
オリビアさんは日本語もバッチリでした。

そして右の眼鏡の人がArthur de Pins(アルチュール・ド・パンス)さん。

そして、通訳をしてくれた方が確かユーロマンガの発起人だか編集の方だったかしらん。

東京日仏学園の教室を借りてのことだったんですが、参加者は30人以上いたんでしょうかね。けっこう教室いっぱいでした。

そこで、まずはド・パンさんからのお話が。
本業としてはアニメーター。現在もアニメーターとして仕事をしつつもイラストレーターやBDの仕事をしているといった感じのようで。
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ホワイトボードに生お絵描きしつつ語ってくれたのはよかったですね。
イラストの制作は主にイラストレーター9.0を使ってペンタブレットで描くそうです。
9.0って古いな!! 後で聞いた話だとアニメ制作もflash5.0だったかな?こっちも古いな!adobeに買収される前マクロメディアだったころのバージョンですね。
「Macはよくわからない」って言ってたのでプラットフォームはWindowsだと思います。
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現在の絵柄が確立したのはゲームデザインの影響かもと本人談。
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昔ゲーム会社でキャラクターデザインをしていたことがあり、32×32ピクセルのドット絵でデザインしなければいけなく、その時に「頭がおおきくデフォルメされたフォルム」のスタイルを得たみたいなこと言ってました。
そういや、こういうスタイルを「SD」って言ってましたな。SD(スーパー・デフォルメ)は日本生まれの和製英語だけど、浸透してるんだなぁ。

制作はほとんどが「イラストレーター」による作画で、当然最初はスケッチするものの、後は全部「イラストレーター」。たまにペンティングぽい絵柄もあるけど、それもイラストレーターで仕上げた後にPhotoshopで加工するという流れのようです。

若い頃には当然のように日本のマンガやアニメをいっぱい見ていたので影響もあるだろう。と
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そこで描いたのが向かって右の絵。
ド・パンさんによるマンガのイメージっぽいんだけど・・・奇面組に見えるんですが・・・ど、どうなんだろう????
(追記:やっぱり奇面組でした)
あの足の表現、ティーンタイタンズでもあったし、手裏剣スクールでも見られる手法だけど、ああいうイメージが「日本ものっぽい」表現と認識されてるんだなと。

そして「ゲームも好きでした。特にセガ」
セガのキャラクターはいいね、ってことで描かれたのが左の剣をもった男の絵なんだけど、なにをイメージしたんだろうか???

影響といえば、「アメリカからの影響は無い」と言いきったのが印象的でした。
あるとしたらやはりヨーロッパと日本。みたいな。
メビウスも似たような事言ってたような気がするけど、フランスにおけるアメリカってどんな感じにとらえられてるんだろうか。

パンスさんといえば、カワイくてセクシーなイラストつうことで、やはり女性ファンが多いようです。ただ、(意外なことに)フランスではセクシーなイラストを描く人があまりいないようなので注文が数多くくるが、できるかぎり抑えているということ。
うけきれないということもあるけど、「そういった絵の人」というイメージで固まりたくないという意志もあるようです。

原作(ライター)付きのマンガを描く場合の話も面白かった。
より絵本に近い感じのものは、当然スクリプトがだーっとあって、それを読んでから一枚カットを描くというノリですが、コママンガの場合は、コマごとにセリフや状況が書かれていて、それに合わせて絵を描くとのこと。

パンスさんが今回日本に来たのは特にこれのためってことはなく、一応東京にいとこがいるけど、普通に観光できたつうことみたいです。
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吉祥寺の「おちゃらか」で展示会があるとかなんとか。(パンスさんは金曜帰国)。今週の木曜にパンスさんも訪れてパーティーするとかなんとか。よくわかりませんでした。

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サインもしてもらいましたー!
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持参したアートブックに描いてもらったのがこれです。ぐへへへへへ。

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でも、他の人が描いてもらっていたバニーがスゲーかわいかったので、おもわず盗撮。

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「びっくりマジックファミリー」についても聞いたんですが、

「キャラクターデザイン「だけ」参加した。」

つうことで、アニメ本編そのもには関わっていなく、あまり本編そのものはよく知らないっぽい感じが・・・あれえ。
キャラクターが完成するまでオーダーに合わせて山ほどデザインを提出したってことらしいけど、どうも話の感触からしてそんなに思い入れはなさそうな・・・
日本でも放送されてるということはまったく知らなかったみたいです。

代りに妙に思い入れがあるのが「カニ」
La Revolution Des Crabes
けっこうまえに日本CNで「カニ革命」として放送されたこともあったので、見た事ある人もいると思いますが、これもド・パンさんの作品。
えーーーー、なんかこれの長編を企画中だとか。これのコミックもそのうち出すかもとか。
なんでそんなにカニが好きやねん!

カニのツメはフランス語で「Pince」。自分の名前も「Pins」ってことだから?
(※カニ革命のクレジットではそれにかけて「Arthur de Pince」って表記されている)



その後はオリビアさんやSHOGUN編集長からフランスマンガ事情とかの話も聞けました。
えーっと、もう山盛りすぎて書ききれないな・・・

売れてるのは「バトルロワイヤル」や「ウォークラフト」。
フランス国内少女漫画市場では「ナナ」や「フルーツバスケット」が人気
「僕は妹に恋をする 」もけっこう売れたけど、クレームがいっぱいきた。
ただし、読者や読者の親からではなく、メディアからの批判がほとんどだった。

BDやコミックの読者はほとんどが男性だったが、現在ソレイユ社のマンガの中で少女漫画の割合は65%ちかくになっている。
「ナルト」などは10万部くらいいくが、そういったトップの作品以外で少女漫画などは1万部以下。8000部もいけば「よく売れた方」ってレベルのようだ。
※ただし、これは日本のように発行部数ではなく、売り上げ部数の数字かもしれない
「ドイツ産の少女漫画も手がけたけど売れなかったわねー」(もしかして「GOTHIC SPORT」?)
日本産以外のMANGAはまだまだ苦戦しているようだ。
とか、いろいろ。
そういや「Lovey Dovey 同盟」ってタイトルも上がったけど、どんなマンガかわからない・・・

SHOGUN編集長さんからは、そのSHOGUNコレクションの話。
「SHOGUN」とはLES HUMANOIDES ASSOCIESが扱うMANGAレーベルのことだが、実際にその名前のマンガ誌が刊行されていた。
日本と同じく複数の作品が連載されるマンガ雑誌で、月刊誌で毎号300~400p。
途中でSHONEN とSEINENに別れたりもしたが、現在は紙媒体からは撤退してオンラインのみになっている。(去年の10,11月頃から)
連載で好評だったものは単行本化して出版される。

その中でも人気が高いものとして持参してこられたのが「OMEGA COMPLEX」
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アメリカ産よりレベル高くね?
絵柄は大暮維人っぽいすね。

オンラインに完全移行したのは「雑誌が売れると単行本が売れないから」だそうで。
日本のように、「読者は雑誌は読み捨てで、単行本で稼ぐ」スタイルを目指していたのだが、フランスの読者は雑誌を買ったらそれをすべて保存しておいて、単行本を買わないからつうことみたいです。
なかなか難しいすねー。

ただこれは国の気質というより、市場規模って気もする。
日本でも多分昔はそういう人は多かっただろうが、恐ろしい数の漫画雑誌が市場にでまわり「マンガがあふれてるのがあたりまえ」の状況になった時に「読み捨て文化」となった気がします。

他にも面白い話はいっぱい聞けたんだけど、書くの疲れたのでこのへんで。


このあと飲み会に行った時もおもしろい話いっぱい聞けて楽しかったー。
ちょうどその時はオリビアさんと席が近かったので、いろいろお話できたし。オリビアさんが日本語できたのも幸いでした。

カネパ&バルブッチも友人だそうで、「今度はバーバラ・カネパさんにもお会いしたいです!」って言ってみたら、10月にもしかしたら来日するかもーって。ただ、毎年「日本に行く」と言ってて全然行ってないようなので今回もどうなることやらってことみたいですが。

で、ちょうどW.I.T.C.H.のノートももっていたので、W.I.T.C.H.の話も聞いたんだど
「W.I.T.C.H.はアレッサンドロ・バルブッチ(Alessandro Barbucci)とバーバラ・カネパ(Barbara Canepa)が始めたものだけど、途中で企画を盗られた」
という話がショッキングでした。
そういえば原作コミックも最初の巻しか描いてないよなぁと思っていたんですが・・・
現在はW.I.T.C.H.関係の収入はまったく入ってきてないんだそうで。

モンスターアレルギー(Monster Allergy)はまだ権利があるみたいですが。

他にもジャパンエキスポの話だとか、フランスでのゴスとゴスロリとか、いっぱい。書ききれん。

あと、個人的に嬉しかったのは、この会で「英語で!アニメ・マンガ」のseenaさんにお会いできたことでしょうか。一度お会いしたいなぁとずっと思っていたので。
もっとお話したかったです!
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コメント

ceena:パンスさんの会
ceenaです!

こちらこそ、ずっとスカポン太さんのブログのファンだったので、
お会いできてとっても光栄でした!
しかもスカポン太さんのお話楽しいし!
その上色々分析とか鋭いし!いや、鋭すぎるし(笑)!


>通訳をしてくれた方が確かユーロマンガの発起人だか編集の方だったかしらん。


発行人で編集もしているフレッドさんですね。


>ド・パンさんによるマンガのイメージっぽいんだけど・・・奇面組に見えるんですが・・・ど、どうなんだろう????

確か「奇面組」とおっしゃってましたよー。子供の頃見ていた他のアニメの名前は思い出せなかったみたいでしたけど。


>「ドイツ産の少女漫画も手がけたけど売れなかったわねー」(もしかして「GOTHIC SPORT」?)

わたしも「GOTHIC SPORT」のことだと思いますー。
ソレイユから出ているので。

そう言えばArthur de Pinsのお名前は「パンス」とするほうが実際の発音に近いみたいです。


またお会いできるのを楽しみにしております~!!
スカポン太:
>ceenaさん
先日はどうもありがとうございました。

やっぱりあれは奇面組でよかったのか!
好きだったというのも意外だったけど、フランスでも放送されていたというのがもっとオドロキでした。

補足ありがとうございます!
「パンス」さんですね。海外の人の名前の表記は定着するまでややこしいこと多くてめんどくさいなー
まあ、向こうの人も日本人の名前で覚えにくいものいっぱいありそうだけど。
またお話したいです。機会がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
タッキー:
おおおお。こんなのがあったのかー!?
やっぱフットワーク軽くないと…ってBD研究会ってmixiコミュじゃないすか。
ちゃんといろいろ見てないとダメすね。さっそく登録しました。
パンスさんもスゴイが、編集さんの話に興味を引かれます。
スカポン太:
ははは、私もBD研究会は直前に知ったもので。
編集さんの話も、発行部数や読者層、判型についてなど凄い細かい話もあっておもしろかったです。とてもじゃないけど書ききれませんでした。^^;
ガしガし:
例会おつかれさまでした!
Pins氏がキャラデザとはいえゲーム屋さんに勤めてたとは意外。
32x32ドットパターンが世界共通で良かったと思えましたよ(笑)

マジックファミリーは思い入れ特にナシですか…。
というか思い入れ云々よりもこのレポでの感触だとあまりひとつの事に固執せず、いろんなことに挑戦してるきらいがある印象をうけました。
ゆえにアニメーターなのにアニメ(TV)観ないっていうのも妙に納得させられましたよ(笑)

>左の剣をもった男の絵
セガだとこの辺りのキャラでしょうかね?http://gs.inside-games.jp/news/143/14370.html
スカポン太:
>思い入れ云々よりも
なるほど。そうかもしれませんね。
絵柄も頭身の小さいスタイルだけで無いし。

さすがゲーム好きっ子!よくわかりますね。でも、その記事は凶悪すぎるww
VicIsono:
僕妹までいってるのか・・・
流石アモールの国。何でもありですな。

フランスmangaでは、Delcourt社から出てるJenny先生の
『Pink Diary』が比較的成功しているようですが。
(ヒロインがフィギュア化までされてますし)
スカポン太:
僕妹は一応売り出す時にオビだか包装だかに「内容は大人向けです」みたいなものをつけたらしいです。

>Pink Diary
フィギュア化まで行ってるなんてけっこうなもんですね。

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