ディズニーコンテンツ拡大への道 その2
ドラマとディズニー
■アニメを見なくなるティーンエイジャーたち
ディズニーに限らず、「アニメは子供の見る物」という固定概念は強く、海外では小さい頃はアニメを見ていても成長するにつれアニメは見なくなる。では、代りに何を見るかと言えば「ドラマ」
そこでそんなティーン向けドラマを強化することに。
結果から言えばこれは大成功で、「ハイスクールミュージカル」の大ヒットでもわかるが、「リジー&Lizzie」のヒラリー・ダフ、「ハンナ・モンタナ」のマイリー・サイラスなど、今やディズニーはティーンアイドル輩出機関と化していると言っても過言ではないほど。
これがまた、社会現象的大ヒットなわけで、ディズニーチャンネルがドラマだらけになるわけだ。マイリー・サイラスなんか今凄いことになってる。
このあまりのヒットに、カートゥーンネットワークが「アニメ専門チャンネル」というポリシーを捨てて実写ドラマに手をだそうとしているくらい。スペシャルとはいえ、BEN10実写化などその例であろう。
視聴率だけ見ると、幼児から小学生までは圧倒的に「ニコロデオンのアニメ」、それを過ぎてアニメから卒業したティーンエイジャーたちは「ディズニーのティーンドラマ」という住み分けとなっている。
ニコロデオンもドラマは制作しており、こちらも人気ではあるが、ディズニーのドラマはニコロデオンのそれよりわずかに高学年向けにしてあったところが成功の秘訣だろうか。
もともとアメリカのドラマは層が厚く、青春ものは数多くあった。
ディズニーのドラマも流れとしては突然始まったものでもなく、その前にABCで放送されていた「フルハウス」がある。
ただ、ティーン向けドラマで大きな転換期となったのは、(ディズニーではないが)1997年から始まった「Buffy the Vampire Slayer(バフィー ~恋する十字架~)」ではないだろうか。
ここでのポイントは、今まで青春ドラマの中であまり重要視されてこなかったギーク層とゴス層を取り込んだところ。(バフィーはアメコミ化もされた)
無視できないくらいに存在感が強くなったギークとゴス。
もともとギーク文化はサブカルチャーとして古くからあったものだけど、それが一般層にまで拡大してきたのはインターネットの発達が大きいと思われる。
このへんは日本も同じ状況にあるので、特に説明は不要かと。
マニアのネット上での発言力は極めて強く、大手メディアに依存しない情報能力と伝搬力。カルト的人気も生まれやすいうえに、落とす金額もでかいときてる。
全体からみれば実はそれほど大きいわけでもなく、やはりマイナーではあるのだが、ネットの普及に合わせて一般へと浸透してゆくこととなる。オタクの一般化と言ってもいいかな。
このギーク層にべらぼうに強かったのがカートゥーンネットワーク。バットマンらのアメコミ、そしてadult swimというマニア向け枠を有するのも強みだ。
「健全」イメージが強いディズニーとしては最も不得意とする分野。
少年向け、中高生以上のギーク向け、そしてゴス。これらの層の獲得が大きな課題として残り続けてゆく事となる。
ただ、最近になってディズニーがこれに気がついたわけでなく、90年代からすでにそのとりくみが始まっていた。この奮闘記はまた後日。
ともあれ、中高生をターゲットとしたコンテンツはディズニーは「TVドラマ」という形で大成功する。
急速に伸びた中高生市場はアニメーションにも影響を与えるのだが、ドラマが大成功したあおりをくらい、ディズニーチャンネルでは皮肉にもアニメ枠が減少するという結果に。
劇場用映画のTVアニメシリーズ化という流れも、2006年の「ラマだった王様」を最後に作られなくなる。まあディズニーの劇場用アニメ自体がヒットしなくなったということもあるんだろうけど。
そこでアニメーション専門チャンネル「トゥーンディズニー」である。
日本では2005年開局だが、アメリカではすでに1998年に開局している。
開局当初は、すでにアニメ専門局として急速に伸びていたCartoonNetworkへの対抗だったんじゃないかと思う。
ただ、ドラマの増大などではじき飛ばされたディズニーアニメの2番館的なポジションであったのはいなめなく、局としては今ひとつだった。
トゥーンディズニーが大きく変わったのはのはFoxKids買収以後。
FoxKidsはディズニー買収後、JETIXとブランド名を変え、2004年にトゥーンディズニーに組み込まれることとなった。
もともと別局だっただけに、そこにはディズニーが不得意としていた男の子向けアクション作品が大量にあり(日本アニメも含む)、自然「男児向けアクションゾーン」という扱いに。
ただ、当然のようにすでにこのジャンルはCartoonNetworkのアクションゾーン「TOONAMI」が先行しており、やはり男子人気が高かった。
そしてトゥーンディズニーはアニメーション専門チャンネルから、男の子向けディズニーチャンネル「ディズニーXD」へとリニューアルされる。
そこで「ドラマのディズニー」がキラーコンテンツとして出してきたのが「アーロン・ストーン」。そして今に至る、ということに。
ちなみに「TOONAMI」は元々はCNの「日本アニメ枠」。
ただ、放送される日本アニメの内容が男子向けに偏っていたためか、そのうち「アクションアニメゾーン」という枠組みに変わりカートゥーンも放送されるようになる。後期になるとその枠組みさえあやふやになってきたのか、ついに2008年にはCN上から消えた。
■アニメを見なくなるティーンエイジャーたち
ディズニーに限らず、「アニメは子供の見る物」という固定概念は強く、海外では小さい頃はアニメを見ていても成長するにつれアニメは見なくなる。では、代りに何を見るかと言えば「ドラマ」
そこでそんなティーン向けドラマを強化することに。
結果から言えばこれは大成功で、「ハイスクールミュージカル」の大ヒットでもわかるが、「リジー&Lizzie」のヒラリー・ダフ、「ハンナ・モンタナ」のマイリー・サイラスなど、今やディズニーはティーンアイドル輩出機関と化していると言っても過言ではないほど。
これがまた、社会現象的大ヒットなわけで、ディズニーチャンネルがドラマだらけになるわけだ。マイリー・サイラスなんか今凄いことになってる。
このあまりのヒットに、カートゥーンネットワークが「アニメ専門チャンネル」というポリシーを捨てて実写ドラマに手をだそうとしているくらい。スペシャルとはいえ、BEN10実写化などその例であろう。
視聴率だけ見ると、幼児から小学生までは圧倒的に「ニコロデオンのアニメ」、それを過ぎてアニメから卒業したティーンエイジャーたちは「ディズニーのティーンドラマ」という住み分けとなっている。
ニコロデオンもドラマは制作しており、こちらも人気ではあるが、ディズニーのドラマはニコロデオンのそれよりわずかに高学年向けにしてあったところが成功の秘訣だろうか。
もともとアメリカのドラマは層が厚く、青春ものは数多くあった。
ディズニーのドラマも流れとしては突然始まったものでもなく、その前にABCで放送されていた「フルハウス」がある。
ただ、ティーン向けドラマで大きな転換期となったのは、(ディズニーではないが)1997年から始まった「Buffy the Vampire Slayer(バフィー ~恋する十字架~)」ではないだろうか。
ここでのポイントは、今まで青春ドラマの中であまり重要視されてこなかったギーク層とゴス層を取り込んだところ。(バフィーはアメコミ化もされた)
無視できないくらいに存在感が強くなったギークとゴス。
もともとギーク文化はサブカルチャーとして古くからあったものだけど、それが一般層にまで拡大してきたのはインターネットの発達が大きいと思われる。
このへんは日本も同じ状況にあるので、特に説明は不要かと。
マニアのネット上での発言力は極めて強く、大手メディアに依存しない情報能力と伝搬力。カルト的人気も生まれやすいうえに、落とす金額もでかいときてる。
全体からみれば実はそれほど大きいわけでもなく、やはりマイナーではあるのだが、ネットの普及に合わせて一般へと浸透してゆくこととなる。オタクの一般化と言ってもいいかな。
このギーク層にべらぼうに強かったのがカートゥーンネットワーク。バットマンらのアメコミ、そしてadult swimというマニア向け枠を有するのも強みだ。
「健全」イメージが強いディズニーとしては最も不得意とする分野。
少年向け、中高生以上のギーク向け、そしてゴス。これらの層の獲得が大きな課題として残り続けてゆく事となる。
ただ、最近になってディズニーがこれに気がついたわけでなく、90年代からすでにそのとりくみが始まっていた。この奮闘記はまた後日。
ともあれ、中高生をターゲットとしたコンテンツはディズニーは「TVドラマ」という形で大成功する。
急速に伸びた中高生市場はアニメーションにも影響を与えるのだが、ドラマが大成功したあおりをくらい、ディズニーチャンネルでは皮肉にもアニメ枠が減少するという結果に。
劇場用映画のTVアニメシリーズ化という流れも、2006年の「ラマだった王様」を最後に作られなくなる。まあディズニーの劇場用アニメ自体がヒットしなくなったということもあるんだろうけど。
そこでアニメーション専門チャンネル「トゥーンディズニー」である。
日本では2005年開局だが、アメリカではすでに1998年に開局している。
開局当初は、すでにアニメ専門局として急速に伸びていたCartoonNetworkへの対抗だったんじゃないかと思う。
ただ、ドラマの増大などではじき飛ばされたディズニーアニメの2番館的なポジションであったのはいなめなく、局としては今ひとつだった。
トゥーンディズニーが大きく変わったのはのはFoxKids買収以後。
FoxKidsはディズニー買収後、JETIXとブランド名を変え、2004年にトゥーンディズニーに組み込まれることとなった。
もともと別局だっただけに、そこにはディズニーが不得意としていた男の子向けアクション作品が大量にあり(日本アニメも含む)、自然「男児向けアクションゾーン」という扱いに。
ただ、当然のようにすでにこのジャンルはCartoonNetworkのアクションゾーン「TOONAMI」が先行しており、やはり男子人気が高かった。
そしてトゥーンディズニーはアニメーション専門チャンネルから、男の子向けディズニーチャンネル「ディズニーXD」へとリニューアルされる。
そこで「ドラマのディズニー」がキラーコンテンツとして出してきたのが「アーロン・ストーン」。そして今に至る、ということに。
ちなみに「TOONAMI」は元々はCNの「日本アニメ枠」。
ただ、放送される日本アニメの内容が男子向けに偏っていたためか、そのうち「アクションアニメゾーン」という枠組みに変わりカートゥーンも放送されるようになる。後期になるとその枠組みさえあやふやになってきたのか、ついに2008年にはCN上から消えた。
- 関連記事
-
- アリス・イン・ワンダーランド観たよ
- 影の男
- Disney Double Dare You
- ディズニーコンテンツ拡大への道 その2
- ディズニーコンテンツ拡大への道 その1
- ディズニーの男の子向けコンテンツ獲得への道
- ディズニーによるマーベル買収その後
この記事のトラックバックURL
http://ppgcom.blog12.fc2.com/tb.php/2984-7c282bfb
コメント
- VicIsono:
- ウチの記事もとりあえず書き終えました。
ギーク女子界でのバフィーの存在は大きいですよね。
今回調べてて改めて驚いたのが、
英語圏ロマンス小説ジャンルの「吸血鬼もの」のボリュームです。
よく飽きもせずというか、柳の下に一体何匹ドジョウがいるのだというか。
- バッククォート:
- > このあまりのヒットに、カートゥーンネットワークが「アニメ専門チャンネル」というポリシーを捨てて実写ドラマに手をだそうとしているくらい。
なるほど。
確かに最近、米CNのサイトを見ると何か実写の人が多くなってるように感じました。
そのうちこういったものも日本にくるんでしょうかね。
- りおこ:アニメの『ゴールデン・エイジ』は終わった?
- おはようございます。
どうりでBEN10の実写映画がやったわけですね。”大きなお友達”の存在、恐るべし。(おととい私が知人にした、アダルトスイム扱いになった日本アニメがご飯時にやっているのかという質問の回答もそれ系でした)
それでは短文失礼します
- スカポン太:
- >VicIsonoさん
さっそく読ませていただきました!
偶然にもバフィーがかぶるなんて。いや、偶然じゃなく、やはり押さえておくべき作品つうことで出て来るのは当然というべき?
ヴァンパイア物は「ヒット要素」ではなく、もはやジャンルになってるのかも。
>バッククォートさん
CNの実写化移行については、ファンからの反対がいっぱい出たそうです。
ただ、この流れを止めるのは難しく、ちょっとづつ増やしていくんじゃないかなあ。
日本CNがどうなるかはわかりません。日本はもっとアニメの力が強いから大丈夫って気もするけど。(BEN10のようにスペシャルとして流れることはけっこうありそうだけど)
>りおこさん
『ゴールデンエイジ』という単語を使うのなら、それはもう終わったということじゃないかと。
どんなジャンルでもゴールデンエイジは過去にしか存在しないものですから。
でまあ、アダルトスイムね(笑)
ニコロデオンがそれに近い事をしようとはしているけど、現状ではCNだけかな。
- :管理人のみ閲覧できます
- このコメントは管理人のみ閲覧できます
- 帰まん:
- XDのグースバンプスやドクターフーってチョイスは絶妙だと思いました。
ティーン向けに作風が重すぎてもダメだし、軽すぎてもダメなんでしょうね。
是非ドクターフーのスピンオフのサラジェーンアドベンチャーも放送してほしいです!
(ドクターが全年齢向けなのに対し、サラジェーンアドベンチャーは青少年向けなのです。
逆に大人しか対象にしてないトーチウッドというスピンオフもありますが、そっち残酷描写や
同性愛描写のオンパレードです…)