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マジカル☆ヒゲタさん


関東3大醤油にして、日本でもトップ3の千葉県銚子「ヒゲタ醤油」。そのわりには地味なヒゲタさん・・・(それには理由があるんですが)
ただ、醤油界においては老舗中の老舗。今回はそんなヒゲタさんのお話を。


1616年に田中玄蕃が醤油作りを始めたのがその始まりだと言われています。
だから「田」の字がつくわけですが、「キッコー○○」とか「ヤマ○○」とか「フンドー○○」とか醤油業によくある印ではなく「ヒゲ印」という珍しい印になったのは、こういうわけです。
枕元にヒゲの仙人が現れ、醤油に適した水源の場所を教えてくれたとかなんとか。
または、何代目かの当主の元に開祖の「田中玄蕃」の霊が現れたとも言われています。
ただ、本当のところはヒゲタ醤油自身もその由来はわかっておらず、諸説あるうちの一つなんですが、こういう神がかったエピソードこそヒゲタらしいとこです。
なぜなら。

ヒゲタの工場には「高倍(たかべ)神社」が鎮座しておりまして、この高倍神はその本体が「磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)」とされます。
磐鹿六雁命は、景行天皇(ヤマトタケルの父)に料理を献上し絶賛され、その子孫は代々宮中の大膳職(天皇専用コック)を継ぐこととなったという。(日本書紀)
その由来により、磐鹿六雁命は高倍神として「料理の祖神」としてあがめられ、醤油・味噌などの醸造・調味料の神となったという。
それを神様大好きっ子のヒゲタさんが聞きつけ、わざわざ別の地にあった高倍神社から分祠してもらい祀っているのであります。

そしてこの神様に奉納するためにだけに作られる醤油が「高倍」である。
(今は『注文のみの限定販売』として一般にも販売されていますが)
ヒゲタはもう一つ『限定生産』の醤油があって、それは「玄蕃蔵」

これは九月九日の重陽の節句に蔵出し、やはり高倍神社に奉納します。
こちらにその完成するまでの様子が書かれていますが、「お水取りの儀」とか、麹や塩などを神社でお祓いして清めてもらったりとか、一年かけて神前で儀式をおこなって醤油を作るという独特のものです。
こちらの醤油は「玄蕃蔵」の名が示すように、始祖の「田中玄蕃」にちなんでのもの。
「高倍」と違うのは、こちらには「田中玄蕃の秘伝」が使われているのだ!!
7月7日にはその「秘伝極めの式」をとり行うとか、もう・・・・言い方からしてヒゲタさん!
さて、この古来より伝わるヒゲタの秘伝とは・・・
大豆と小麦で作る通常の諸味に米麹(甘酒)を添加すること。
ここでピンときた人は醤油マニアです。
関西の「うすくちしょうゆ」、原材料は大豆、小麦、塩、米。(米は甘酒として添加)
そう、これこそまさに淡口醤油の製法。
前に書いたように、ヤマサの濱口家は紀州から引っ越して来たので「湯浅醤油」の流れをくみますが、ヒゲタの田中玄蕃は摂津の国(兵庫県)西宮の真宜九郎右衛門から醤油造りを伝授されたとされ、すなわちこちらは近畿(関西)醤油系。ヒガシマルと同じですね。
同じ銚子にありながら紀州系と摂津系が混じり合ったものこそ千葉醤油。
そんなヤマサとヒゲタですが、ヒゲタ醤油経営一族は濱口家であり、始祖の濱口吉右衛門はヤマサの初代の濱口儀兵衛の兄。濱口兄弟がおこした醤油業がヤマサとヒゲタであり、つまり兄弟会社ですね。
(もともと儀兵衛が醤油造り、吉右衛門が販売担当だったようですが)
あれ、始祖は田中玄蕃では?
ここらへんちょっとややこしいので解説すると、
銚子の醤油蔵「ヒゲタ」「ジガミサ」「カギダイ」「ジョウズル」が合併してできたのが「銚子醤油」。
その「銚子醤油」が後に改名したのが今の「ヒゲタ醤油」。
このうち「ジガミサ」が濱口吉右衛門の醤油。(カギダイ、ジョウズルは深井吉兵衛)
そして現在はこの濱口家が会社経営をしていると。
つまり、「ヒゲタという醤油」は田中玄蕃の流れですが、
「ヒゲタ醤油という会社」はヤマサの兄弟・濱口吉右衛門の流れなのです。
キッコーマンが野田醤油時代にいろんな印(ブランド)の醤油があったが「亀甲萬」に統一したように、銚子醤油も「ヒゲタ」に統一したため、ジガミサは消えヒゲタ醤油となったわけです。
幕府により認められた最上醤油は「キッコーマン」「キハク」「ジョウジュウ」「ヤマサ」「ヒゲタ」「ヤマジュウ」「ジガミサ」の七印。
ジガミサも最上醤油でしたが、ヒゲタはそれよりも評価・人気ともに高いブランドだったからでしょう。

今でもロゴマークに残る最上醤油の「上」の字。
ヒゲタがややこしいのはこれだけではなく、一時期キッコーマンが社長になったことも。

昭和初期、昭和2年から始まる金融不況は銀行の倒産などあり、かなり深刻なものでした。
それを背景に、醤油業界は価格競争によるシェア争いが激化。乱売につぐ乱売、無理な低価格競争、はては劇場招待券や旅行券ほか景品付き醤油など売り出されることも。
当然このようなムチャな争いは、企業の経営体力を激しく削ぐこととなる。(デフレスパイラルってやつかしら)
その中でもヒゲタ醤油(この時はまだ銚子醤油)はこの時期に、野田(キッコーマン)の巨大工場「野田第17工場」に対抗して巨大新鋭工場「銚子醤油 第五工場」を着工しており、この設備投資費が経営を圧迫。
ヒゲタはその巨大さゆえに倒産寸前となっていたのであった。
そこでキッコーマン(野田醤油)が、資本提携によりヒゲタを再建。
(キッコーマンは当然ライバルと競争するが、醤油業界そのものを大切に思っているとこがある)
そのときに、キッコーマンから多くの役員がヒゲタに派遣され、ヒゲタ醤油(銚子醤油)の社長も、キッコーマン一族の茂木七左衛門が勤めた。
現在では再び社長は濱口家に戻ったが、これ以来、「ヒゲタ醤油の販売はキッコーマンが扱う」ようになった。
キッコーマンのホームページを見ても、キッコーマンがヒゲタ醤油を販売しているのがわかるかと。
一応「提携」ということになっているが、ほとんどグループ企業みたいなもんですかね。
ヒゲタまとめ。

そんなわけで、ヒゲタが業界ナンバー3ながらもヤマサと違い、あまり一般家庭用が目につかないのは(業務用メインだからという理由以外に)そういう理由があるわけです。むしろキッコーマンと競合しないよう業務用メインになったとも考えられるが。
ヒゲタさんはナンバー3という微妙な位置ゆえに、他にもいろいろと時代に翻弄されるおもしろいエピソードが多いのですが、とりあえずヒゲタさんの紹介はこんな感じ。
醤油業界って調べてみるとみんなキャラたってて面白いなぁ。
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コメント
- 爾百旧狸:
- 仙人泥棒タチが悪いなあw
最近「野田第十七工場」とかが「エリア88」くらいカッコ良く感じるようになってきました
陶器瓶醤油とかヤバイ・・・
こちらでお返事ですが、はじめちゃいましたよ
一応、醤油も予定してます
醤油関連にリンクを張らせて頂くこともあるかと思いますので、その時はよろしくお願いします
- 柴岡さん:
- そうですか、今後、ショーユ仙人と呼ばせていただきます。
- 海星:
- そっかあ!スカポン太さんは、ショーユの仙人さまだったんですね!
なむなむ。拝んでおきます。なむなむありがたや。
醤油のキャラ立ちすごいですなあ。
ヒゲタさんかわいいなあ。あとお兄様かっこいいなあ。
- スカポン太:
- いやいやいや、マンガと現実ごっちゃにしてはいけませぬ!マンガ脳!www
ヒゲタさんはほんとかわいいのです。だからおもわず書いてしまいました。
>「野田第十七工場」
カッコいいですよね