キッコーマンあまくちと北海道
ちょっと前にキッコーマンと北海道の話が出たので。


悲しみの向こうへと 辿り着けるなら~
以下うんちく
キッコーマンあまくち
■原材料名:脱脂加工大豆、大豆、小麦、食塩、果糖ぶどう糖液糖、アルコール、調味料(核酸)、甘味料(カンゾウ)
甘草で甘くした、キッコーマンの甘口醤油!
これ、キッコーマンの公式サイトの「業務用」カテゴリに入っていたため見逃していました。
どうやら「北海道限定」の醤油のようです。
それにしても甘草入りとは。やはり九州醤油を参考にしたんでしょうか。
ちなみにヒゲタあまくちには甘草は入ってません。
北海道キッコーマン「千歳工場」ができたのが1987年。
この地を選んだのは交通の便や原材料の入手しやすさや良質の水源など理由は多いが、なにより千歳市からの熱心な誘致のためだったという。
原材料の豊富な産地である北海道。そのためこの工場では、小麦はすべて北海道産を使用することが始めから決められていたそうです。
アメリカ工場の経験から、「現地にできるだけ配慮する」方針がとられており、工場の景観なども考慮されて作られたと言う。
「地域密着」ということから、ここでまず作られたのが「濃口しょうゆ」と「甘口しょうゆ」(後に「昆布しょうゆ」が加わる)。
これから察するに、はやり北海道も甘口醤油が多く出回っていたのではないかと思われる。
その本州には出回らない「北海道限定の醤油」こそが「キッコーマンあまくち」。関東では見た事ないです。
調べてみると、この「キッコーマンあまくち」は九州でも発売されているぽい?
ただ「あまくち」を製造しているのは北海道工場だけなので、九州に出回ってると言うやつも、北海道産のものなんじゃないかと思います。(野田工場では生産してない)
自分が味わったことがないのでちょっとわかりませんが、どうも九州の醤油ほど甘くはなく、東北並みの「やや甘」くらいな感じのようですが。
なんにしても「南にいくほど甘くなる説」はやっぱり違うと思うなあ。
そんなキッコーマンと北海道ですが、実はその前に北海道に醤油工場を建てていて、
それは北海道旭川の「キッコーニホン」

もともとは旭川の最初の入植者の一人「鈴木亀蔵」の笠原酒造店がルーツ。
これは後に酒造業の合併により、この酒造工場は日本清酒の旭川支店となる。
しかし、昭和19年(1944年)、政府による「酒造業の企業整備」の転廃対象となったため、醤油業に転換することに。
時代背景としてはまさにこの時は太平洋戦争まっただ中。
配給制の施行とともに「地域ごとの自給自足」という政策がとられていて、強制的な企業整備が行われていたのでした。(地域による自給自足配給のために産業をまんべんなくならして、工場などの統廃合が行われた)
それでも供給が足りなさそうな場合は、他の地域の大手企業などが強制的に移転、分譲、新建設するよう指示された。
醤油においてはキッコーマンがその指示をうけ、北海道に醤油工場を作らねばならぬこととなった。
そこで北海道移駐指示をうけた「キッコーマン」と、ちょうど旭川工場が転廃対象となっていた「日本清酒株式会社」とで共同してこの地に新しく醤油会社「日本醤油工業株式会社」を設立したわけである。
それがすなわちキッコーニホン。キッコーマン+日本清酒=キッコーニホン てことですね。
キッコーマンのかくし子(笑)
(ここでも甘口醤油作られてますね。あと、本醸造のほか混合醸造の醤油も)
キッコーマンは他にも「関西」と「九州」にも移駐指示されていましたが、大戦末期の疲弊した状態ということもあり物資の輸送その他の問題から、実現したのはこの北海道のキッコーニホンだけでした。
ただこのキッコーニホン、現在ではキッコーマンとの関係は特に無く、独立した醤油企業となっています。
自給自足の原則により、当時から独立採算で運営していたようなので、立ち上げには関わっていてもやはりキッコーマンとは直接繋がりはなかったようですが。
終戦後は、自由競争とスーパーマーケットの発展、北海道の人口増加によりキッコーマンをはじめ関東の醤油メーカーが北海道進出を狙って続々のりこんできましたが、前に「フンドーキンの野望 本醸造編」で書いたように70年代には「近促法」により地方中小醤油企業の力が強まり、遠方地での競争は苦戦するようになりました。
そこで1987年に北海道現地工場たる「キッコーマン千歳工場」が作られた。というお話でした。



悲しみの向こうへと 辿り着けるなら~
以下うんちく

キッコーマンあまくち
■原材料名:脱脂加工大豆、大豆、小麦、食塩、果糖ぶどう糖液糖、アルコール、調味料(核酸)、甘味料(カンゾウ)
甘草で甘くした、キッコーマンの甘口醤油!
これ、キッコーマンの公式サイトの「業務用」カテゴリに入っていたため見逃していました。
どうやら「北海道限定」の醤油のようです。
それにしても甘草入りとは。やはり九州醤油を参考にしたんでしょうか。
ちなみにヒゲタあまくちには甘草は入ってません。
北海道キッコーマン「千歳工場」ができたのが1987年。
この地を選んだのは交通の便や原材料の入手しやすさや良質の水源など理由は多いが、なにより千歳市からの熱心な誘致のためだったという。
原材料の豊富な産地である北海道。そのためこの工場では、小麦はすべて北海道産を使用することが始めから決められていたそうです。
アメリカ工場の経験から、「現地にできるだけ配慮する」方針がとられており、工場の景観なども考慮されて作られたと言う。
「地域密着」ということから、ここでまず作られたのが「濃口しょうゆ」と「甘口しょうゆ」(後に「昆布しょうゆ」が加わる)。
これから察するに、はやり北海道も甘口醤油が多く出回っていたのではないかと思われる。
その本州には出回らない「北海道限定の醤油」こそが「キッコーマンあまくち」。関東では見た事ないです。
調べてみると、この「キッコーマンあまくち」は九州でも発売されているぽい?
ただ「あまくち」を製造しているのは北海道工場だけなので、九州に出回ってると言うやつも、北海道産のものなんじゃないかと思います。(野田工場では生産してない)
自分が味わったことがないのでちょっとわかりませんが、どうも九州の醤油ほど甘くはなく、東北並みの「やや甘」くらいな感じのようですが。
なんにしても「南にいくほど甘くなる説」はやっぱり違うと思うなあ。
そんなキッコーマンと北海道ですが、実はその前に北海道に醤油工場を建てていて、
それは北海道旭川の「キッコーニホン」

もともとは旭川の最初の入植者の一人「鈴木亀蔵」の笠原酒造店がルーツ。
これは後に酒造業の合併により、この酒造工場は日本清酒の旭川支店となる。
しかし、昭和19年(1944年)、政府による「酒造業の企業整備」の転廃対象となったため、醤油業に転換することに。
時代背景としてはまさにこの時は太平洋戦争まっただ中。
配給制の施行とともに「地域ごとの自給自足」という政策がとられていて、強制的な企業整備が行われていたのでした。(地域による自給自足配給のために産業をまんべんなくならして、工場などの統廃合が行われた)
それでも供給が足りなさそうな場合は、他の地域の大手企業などが強制的に移転、分譲、新建設するよう指示された。
醤油においてはキッコーマンがその指示をうけ、北海道に醤油工場を作らねばならぬこととなった。
そこで北海道移駐指示をうけた「キッコーマン」と、ちょうど旭川工場が転廃対象となっていた「日本清酒株式会社」とで共同してこの地に新しく醤油会社「日本醤油工業株式会社」を設立したわけである。
それがすなわちキッコーニホン。キッコーマン+日本清酒=キッコーニホン てことですね。
キッコーマンのかくし子(笑)
(ここでも甘口醤油作られてますね。あと、本醸造のほか混合醸造の醤油も)
キッコーマンは他にも「関西」と「九州」にも移駐指示されていましたが、大戦末期の疲弊した状態ということもあり物資の輸送その他の問題から、実現したのはこの北海道のキッコーニホンだけでした。
ただこのキッコーニホン、現在ではキッコーマンとの関係は特に無く、独立した醤油企業となっています。
自給自足の原則により、当時から独立採算で運営していたようなので、立ち上げには関わっていてもやはりキッコーマンとは直接繋がりはなかったようですが。
終戦後は、自由競争とスーパーマーケットの発展、北海道の人口増加によりキッコーマンをはじめ関東の醤油メーカーが北海道進出を狙って続々のりこんできましたが、前に「フンドーキンの野望 本醸造編」で書いたように70年代には「近促法」により地方中小醤油企業の力が強まり、遠方地での競争は苦戦するようになりました。
そこで1987年に北海道現地工場たる「キッコーマン千歳工場」が作られた。というお話でした。

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コメント
- マサト:
- nice boatに笑ってしまったw
リアルタイムに更新されてたので記念とばかりにコメントしてみます(笑
スカポンさんのおかげで醤油とリコリスが気になる今日この頃…
- たっきー:
- おもしろく読ませてもらいました。
北海道の味の文化を語る上で重要だと思うのは、
明治以前は「和人はほぼいなかった」ってことですかね。
つまり入植した人の味覚センスでいろんなものが味付けされていただろうから、
北海道独自の味って基本「ない」と思うんですよ。
かく言う私は「巴醤油」をぼんやり憶えているくらいで、
その醤油の味がどうだったかとかぜんぜん憶えていません。
実を言うと今でもほとんどわかりませんw
- 樹海:
- キッコーニホン印が一瞬ザナのマークに見えました(笑)。
- スカポン太:
- >マサトさん
こんにちは。興味もってもらえて嬉しいです
>たっきーさん
そうですね、そのへん北海道ってアメリカに近いかも!
>樹海さん
ザナの仕業か!