フランソワ・アモレッティの「ゴシックロリータ」
私の趣味だけで紹介するBD(バンド・デシネ)の世界へようこそ。

「Gothic Lolita ゴシックロリータ」
作者はフランソワ・アモレッティ(Francois Amoretti)
出版社はSoleil

バンドデシネにしては珍しい正方形に近い変形サイズ。
というか、これはバンドデシネ・・・なのかなあ。どっちかといえば絵本ですね。コマ割りされてないし。
ただ、これが素晴らしいのは、“フランスでしか発売されていない”のに「日本語表記付き」なこと。

おかげさまで、今回いくつか入手したフランスものの中では唯一隅々まで内容を把握できました。
題名こそ「ゴシック・ロリータ」ですが、これはゴスロリというよりロリータ少女の物語。
そしてそのロリータは「日本のロリータファッション文化」のロリータ。
それゆえの日本語表記付きなのでしょう。

「Gothic Lolita ゴシックロリータ」
作者はフランソワ・アモレッティ(Francois Amoretti)
出版社はSoleil

バンドデシネにしては珍しい正方形に近い変形サイズ。
というか、これはバンドデシネ・・・なのかなあ。どっちかといえば絵本ですね。コマ割りされてないし。
ただ、これが素晴らしいのは、“フランスでしか発売されていない”のに「日本語表記付き」なこと。

おかげさまで、今回いくつか入手したフランスものの中では唯一隅々まで内容を把握できました。
題名こそ「ゴシック・ロリータ」ですが、これはゴスロリというよりロリータ少女の物語。
そしてそのロリータは「日本のロリータファッション文化」のロリータ。
それゆえの日本語表記付きなのでしょう。
主人公、ロリータ少女の「菫(すみれ)」はいつまでたってもロリータのまま。
将来を心配した両親がちゃんとした仕事につけるよう、いい学校に入ることを勧めるが、学校では「ロリータになるための授業」はしてくれない。
そこで菫は考えた。「じゃあ、ロリータのための学校を作ろう!」
「MAIS TU ES FOLLE !!」
(日本語訳ではやんわりと「何考えてるの!」と訳されてたけど、もっと直訳的には「狂ってる!」)
両親からも責められ、融資を求めに行った銀行にも相手にされず、絶望の淵にいた菫だが、そこで様々なロリータたちと出会う。

ロリータ服の裁縫の名人「アリス」(赤いドレスの金髪の子)
ロリータの優雅な音楽を奏でる「ゆか と さち」(紫髪の二人)
ロリータが大好きなスウィーツのパティシエ「ブルーベリー」(うさぎ耳の子)
そこから話はうまく進み、侯爵夫人からお屋敷をゆずりうけ、彼女達はその講師に。

ついにロリータの学校が開校する!
一日中、ロリータファッションで、音楽を聞き、詩をつむぎ、スウィーツを愛する、そんなロリータのためのロリータの学校ができたことを聞きつけて、各地からロリータ少女が集まる。
「デカダン反対! 首を斬れ!」
しかし、近隣住民の反対にあって、お屋敷は紅蓮の炎に包まれたのであった・・・ところが・・・
という、ロリータのための狂おしいまでのロリータファンタジー、いやメルヘン。それがこの作品だ。
ロリータファッションなど流行ってるとマスコミなどで取り上げられることは多いが、フランスでも日常においては奇異な目で見られることも多いのだと思う。
そんな視線の中で、ひたすらロリータ愛だけで幻想の少女王国を夢想するこれは、つきぬけまくっててなかなかいい。
フランソワ・アモレッティの絵柄もあってか、どこかアングラっぽい雰囲気が漂っているのも良い。
ところで、ロリータの友人たちはスペシャリストですが、主人公の菫は何ができるかと言うと、ロリータのスペシャリスト。
薫は『ロリータ百科事典』を編纂する。
その菫による『ロリータ百科事典』が本編にそのまま収録されており、これがけっこう面白い。
例えばこんな感じだ。
苺タコ

パッツン前髪

他にロリータファッションのバリエーションなども収録されており、
甘ロリ、ゴスロリ、和ロリ・・・エトセトラエトセトラ
巻末にロリータ絵師の紹介などもあるのだが、こういう本なのですべて日本の作家たちだ。
ここに出てくる「ゆかとさち」のモデルはロリータ・クラシック・ユニット『黒色すみれ』の「ゆか」と「さち」。
そのまんまですね。
実際にフランソワ・アモレッティと交流も深いようだ。
■フランソワ・アモレッティのblog
この本は絵本だったけど、今度またこの人の本を読む時は、マンガを読みたいなあと思う。
マンガも描いてるっぽいんですよ。こーいうのまとめて欲しいなあ。
その1 その2 その3 その4 その5 彩色版
■「アパレルウェブ」でのフランソワ・アモレッティのインタビュー記事
まあ日本でも原宿以外などではなかなか難しいと思いますけどね。
将来を心配した両親がちゃんとした仕事につけるよう、いい学校に入ることを勧めるが、学校では「ロリータになるための授業」はしてくれない。
そこで菫は考えた。「じゃあ、ロリータのための学校を作ろう!」
「MAIS TU ES FOLLE !!」
(日本語訳ではやんわりと「何考えてるの!」と訳されてたけど、もっと直訳的には「狂ってる!」)
両親からも責められ、融資を求めに行った銀行にも相手にされず、絶望の淵にいた菫だが、そこで様々なロリータたちと出会う。

ロリータ服の裁縫の名人「アリス」(赤いドレスの金髪の子)
ロリータの優雅な音楽を奏でる「ゆか と さち」(紫髪の二人)
ロリータが大好きなスウィーツのパティシエ「ブルーベリー」(うさぎ耳の子)
そこから話はうまく進み、侯爵夫人からお屋敷をゆずりうけ、彼女達はその講師に。

ついにロリータの学校が開校する!
一日中、ロリータファッションで、音楽を聞き、詩をつむぎ、スウィーツを愛する、そんなロリータのためのロリータの学校ができたことを聞きつけて、各地からロリータ少女が集まる。
「デカダン反対! 首を斬れ!」
しかし、近隣住民の反対にあって、お屋敷は紅蓮の炎に包まれたのであった・・・ところが・・・
という、ロリータのための狂おしいまでのロリータファンタジー、いやメルヘン。それがこの作品だ。
ロリータファッションなど流行ってるとマスコミなどで取り上げられることは多いが、フランスでも日常においては奇異な目で見られることも多いのだと思う。
そんな視線の中で、ひたすらロリータ愛だけで幻想の少女王国を夢想するこれは、つきぬけまくっててなかなかいい。
フランソワ・アモレッティの絵柄もあってか、どこかアングラっぽい雰囲気が漂っているのも良い。
ところで、ロリータの友人たちはスペシャリストですが、主人公の菫は何ができるかと言うと、ロリータのスペシャリスト。
薫は『ロリータ百科事典』を編纂する。
その菫による『ロリータ百科事典』が本編にそのまま収録されており、これがけっこう面白い。
例えばこんな感じだ。
苺タコ

パッツン前髪

他にロリータファッションのバリエーションなども収録されており、
甘ロリ、ゴスロリ、和ロリ・・・エトセトラエトセトラ
巻末にロリータ絵師の紹介などもあるのだが、こういう本なのですべて日本の作家たちだ。
ここに出てくる「ゆかとさち」のモデルはロリータ・クラシック・ユニット『黒色すみれ』の「ゆか」と「さち」。
そのまんまですね。
実際にフランソワ・アモレッティと交流も深いようだ。
■フランソワ・アモレッティのblog
この本は絵本だったけど、今度またこの人の本を読む時は、マンガを読みたいなあと思う。
マンガも描いてるっぽいんですよ。こーいうのまとめて欲しいなあ。
その1 その2 その3 その4 その5 彩色版
■「アパレルウェブ」でのフランソワ・アモレッティのインタビュー記事
ロリータのパリでの人気や、認知度、一般的な人の見方はどうですか?
ヨーロッパでは人の見た目と内面が結びついているのです。変わった格好をしていると変わった人と思われます。服装の選択に日本ほど自由度が高くないので、ロリータに対してもかなり偏見があります。おばあさんの中には、昔風で可愛いと思う人も少し居るようですが、同じ女性でもロリータを嫌がる人も居ます。そんな偏見を変えたいと思うのです。
まあ日本でも原宿以外などではなかなか難しいと思いますけどね。
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コメント
- ビニールマン:
- ゴスはゴシック≒貴族文化の亜流
そして、フランス共和国は貴族を忌み嫌い、ギロチンで葬り去った国です
…関係ないですねw
(一方、太平洋戦争で惨敗した我が国では、ミリタリールックのウケがイマイチ…これも関係ないですねw)
しかし、そのフランスでいまプルカ(イスラム女性がつけるヴェール)が忌み嫌われ、わざわざ新法まで作って禁止してるんですよね…これは関係あるかも
この本、実は意外に深いのかもしれません
まぁ、ゴスでもなんでも要は中身です
中身が良ければゴスでもプルカでもOKだが、悪ければうわ何をするやめ(ry
- スカポン太:
- すべてをそれだけで説明しようとすれば無理があるかもしれないけど、あながち関係ないとも言いきれない気がします。
文化は歴史の流れの中にありますしねえ。
でもプルカ禁止は今知りました。ふむ
- そも:
- 存外、良かったですよね。
自分が買ったものを手に取ったとき、女の子の顔が自分食わず嫌いしてる(短編1話しか読んだことない)
おちゃづけのりって漫画家の画とダブって少し不安になりましたが読んでみればそんなことなかったぜ。
でもすみれちゃんのさらし首、結構怖エー…。
オチが都合よく解決して『現実』との全面戦争みたいにならなかったのはちょっと残念だったかな。
- スカポン太:
- >そもさん
どこがちょっとアンバランスな作風が、確かにそれっぽい感じもします。
私はむしろそこが気にいってたんですけど。
ラストがゆるいハッピーエンドなのは、これが夢の少女王国メルヘンだからこそという気もします。
ちょっぴり社会性なんかも入れてたけど、ホントは
「社会とか現実なんてどうでもいいんだ!ひたすらにロリータ少女のキャッキャウフフを描きたい!」みたいな作者の恋の告白みたいなもんかなと。