【KICK-ASS】コミック版紹介

「KICK-ASS」読み終わったので紹介するよ。
脚本:Mark Millar、 アート:John Romita Jr.
自分が買ったのはこのハードカバー版ですが、10月には少しお安くなった廉価版も出るようです。
amazonだとイギリスTitanBooks版も入荷しているようですね。内容的にはほとんど同じようです。
表紙が映画のスチールってのはあまり好きじゃないので結局HC版を買ったんですけどね。
主人公はデイビットことデイブ。どこにでもいる普通のコミックギークさ。

クラスメートにケイティという気になる女の子がいるけど、全然相手にされない。まあつるんでる連中もアレな感じでいかにもですが。
オタク少年のなんちゃってヒーローという設定は、それだけ聞くとグダグダのしょっぱいネタにしか聞こえないが、John Romita Jr.のスマートな描写とモノローグで進む展開のために、ギャグというより思春期の悩める少年もののように感じられる。
デイブもまるでバックボーンが無いわけでもなく、14歳の時に母親を無くして父親と二人暮らし。
その時に「ちくしょう!俺は母の仇を討つ!」と心の中で誓いつつ、部屋で泣いてる父親の脇で何をするわけでもなくビデオゲームをやっていた・・・・ おいおい
何もできない自分、何者でもない自分、そんな空虚さの末に彼が向かったのが「スーパーヒーロー」だったのだ。
そんなデイブのデビュー戦。
eBayで買った前身タイツスーツに身を包み、とりあえず治安悪そうなとこに行って、チンピラに勝手に因縁つけて、いきなり武器でなぐりつけるというもの。
それって・・・どうなの?
だがそれがいい!!まだ何をしていいかわからないこの空虚さ!

この時のセリフがいいのですよ。
「てめえ、何者だよ!」
「知らない・・・」
「はぁ?」
「・・・まだ考えてないんだ」
そう、まだ「キックアス」では無かったんですね。何者でもない何か。
結局ボコられた末に、ナイフで刺され、ふらふらと車道に出たら車にひかれて大重体。ひどい

ここで終わればギーク少年のイタイ話のままかもしれないけど、ケガが直った後・・・
少年は再びストリートに向かう。
何かを求めて・・・何者かになるために・・・

え・・・・カッコいい?!
今度はチンピラにボコられている人を発見。
その人を助けるために戦うデイブだが、やっぱりボコボコにされる。しかし、しつこく粘っているうちにチンピラはあきらめて退散。その騒動は多くの人たちに目撃され、携帯電話の動画機能で撮影された動画がyoutubeにアップされ大反響をよぶことに。
「すげえ!みんな見てみろよ!マジでスーパーヒーローが戦ってるぜ!!!」

この時、自分に言い聞かせているかのようにつぶやき続けていたセリフもいいですねえ。
「Get away from him.
I'm not leaving him.」
日本のオタネタっぽく訳すなら「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」って感じ?
こうしてここでデイブはついに「目的」と「名前」を得て以後ヒーロー名「キック・アス」を名のるようになる。

それからいろいろありまして、マジでヤバそうな連中と絡むことに。
これはマジ死ぬ。

そこへさっそうと現れたのがヒットガール。
またたくまに、ヤバそうな連中を瞬殺。女にも容赦なく、皆殺し。
これで「なんちゃってヒーロー青春物語」から一気に物語はバイオレンスと非日常の物語へと変貌するのであった。
ヒットガールのバトルもすさまじいんだけど、むしろ去るとこがすばらしくてですね。
最初にこの現場に行くために、キックアスは「コミックブックのヒーロー」みたいにビルからビルへ屋根づたいに跳んで行こうと思っていたんですよ。でも「いやいや、これマジ無理」とさすがにコミックみたいにはいかないなと歩いて到着。
ところが、ヒットガールが去る時に、彼女はビルの屋根から屋根へ跳んで去って行ったのだった!!
「本物だ!!!」
デイブのヒーロー基準はどうもそのへんにあるみたいだ(笑)
でもこれはすばらしくカッコいいシーンで、不思議な説得力があったのですよ。

その後、同様にヒーロー活動をしている「レッド・ミスト」にも出会い、コンビをくんで火事で人助けをしたりするのであった。
そうこうしているうちに、話はどんどん大きくなり、キックアス最大のピンチを迎えることに。
(この時はヒットガールも大変なことになるんだけどね)

チ○コ電極の拷問とかマジきついです・・・・
なかなか読み応えがある傑作でした。
とにかくロミータJrの絵がカッコよくてねえ。名シーン多し。
ただバイオレンス描写はけっこうエグイです。
こういう話だからオタクネタもセリフのあちこちに出てくる。
マーベルから出版されているためかマーベルヒーローネタが多めなんだけど、バットシグナルがどうとか、パワーリングがどうとかもちらほら。Richie Richの名も出てきた。
(あっちのコミックギーク少年たちってそんなにBuffy好きなのか?!)
そう、これは実名そのまま使ってるのが特徴。
youtubeだとかMyspaceやebayなど現実にある名前をそのまま使う。このへんがリアリティを増強しているんだけど・・・うーん、これ日本語版も欲しいなあと思ったけど翻訳えらい大変そうですよ。
youtubeならまだしも、newsaramaの掲示板がどうこうとか、それがどういうニュアンスで語られるものなのか日本人にはわかりずらい気がする。
あ、別にいいのか。この作品そのものがコミックギーク向けであるのなら、これをわざわざ読む日本人もアメコミオタクだろうから、そのくらいはピンとくるかな。
(newsaramaは私もよく利用している有名なギーク系ポータルサイト)
まあ、どっちみち見る方は特に気にしなくても楽しめるし、悩むのは翻訳の人くらいでしょう。

ヒットガールの描写のところ
「She was like John Rambo meets Polly Poket.」
ポリー・ポケットで表現するところはなかなか秀逸。
アメコミコスバージョンのポリーポケットが出たんだから、ヒットガールのポリーポケットが出てもいい。
(レーティング的に絶対無理な気がするけど)
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コメント
- Ohara:
- レビュー乙です
スカポン太氏のレビューは詳細でいつも非常に参考になるっス
関係ねえけどスコット・ピルグリムの公開署名一週間でまだ200人ぽっきり
関係者が見たら逆効果になりそう・・orz
俺ら少数派なんだな
- スカポン太:
- どうも。参考になれたらなによりです。
スコピル署名 失速ですかあ。
少数派といえば少数派なんですようねえ。原作も一部でしか知られていない作品ですし
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