fc2ブログ

Jolies Ténèbres

最近読んだBD(バンドデシネ)の中で最もグっときた作品。

JoliesTenebres_00.jpg「Jolies Ténèbres」

脚本:Fabien Vehlmann
作画:Kerascoët(キャラスクエット)
出版社はDupuis

タイトルの意味は「かわいい闇」。
英語ならPretty Darknessってとこでしょうか。



とにかくキャラスクエットの絵がとてもかわいらしく魅力的。
それ目当てで買ったのですが、内容は残酷童話ともいうべき大人のフェアリーテイルでした。

Jolies01.jpg

水玉ワンピースの子が主人公。ほのぼのとしたお茶会から始まるのですが
Jolies_02.jpg
突然部屋がどろどろになって崩れてゆく。
あわてて逃げ出す彼女達。

Jolies_03.jpg

雨により腐敗が進んだ少女の死体の中から、わらわらと虫のように逃げ出す小人達。
そう、これは少女の死体を借宿としていた小人達の物語だったのだ。
さしずめ、本当は怖い『借りぐらしのアリエッティ』とでも言おうか。

そして、ウジがわき腐敗が進んで行く少女の死体のそばで、とてもかわいらしい絵柄でほのぼのと日々の生活をおくる小人達の物語が始まる。
小人達は虫のように生き、そして虫のようにあっさりと死んでゆくのだ。

ウジわく死体に座って、ほのぼの世間話。
Jolies_05.jpg
このへんなど、キュートとグロがあたりまえのように共存し、シュールなのかなんだかよくわからなくなってくる。
ただ、とにかくこれに登場する小人達はどれもキュートで個性的。

主人公の少女の名前は多分「Aurore」
フランス語よくわからんこともあるけど、なかなか名前で呼ばれないのでよくわからなかった。
Jolies_04.jpg
ただ、このシーンで
「「Aurore」って誰?」
「それは私よ!」
って言っていたので多分「Aurore」。
でも、これって死んだ少女の持ち物だし、死んだ少女の名前では?(それまで名前は無かった?)
細かいところが読めないのがもどかしい。



Jolies_06.jpg
他の小人達とは離れて一人で暮らしているハサミ女。名前は多分「Jone」。
この娘さんはカッコいいのですよ。
小鳥を捕まえ、そのハサミで羽根を斬り、馬のような乗り物として使っていたりとか。


しかし、小人達には死の影が、冷酷にそしてあたりまえのようにあっさりとやってきたりする。
たとえばこの少女。
Jolies_07.jpg
「なんだか手に腫れ物が・・・」とか言っていたら

その後の彼女
Jolies_08.jpg
さらに症状は進んで行き・・・後半には・・・ううっ



そしてバレエ三姉妹
一人目
Jolies_09.jpg
「ヒナのマネすれば食料手に入るんじゃね?」 そして彼女は帰って来なかった

Jolies_10.jpg
虫を見ていたら・・・ そして彼女は帰って来なかった

Jolies_11.jpg
そして彼女は帰って来なかった

ちなみに、このピンクの子はお気に入り。ちょっとパワパフっぽい?



そして、Hector。
主人公の女の子にいいよっていた、おとぎ話の王子様のような軽いイケメンくん。
Jolies_13.jpg
沼での出来事

Jolies_14.jpg
・・・・・・・・

他にも、少女の死体に固執する狂った少女やら、髪で片目が隠れたおとなしい少女やら、女王様きどりの傲慢な女の子やら、個性的なキャラクターだらけ。

前半はこういった小人達の残酷にしてほのぼのとした日常でつづられるのですが、後半になると主人公にも変化がおとずれ、物語が動いてきます。
まあ、上記のヘクターくんが、主人公にいいよっていたにもかかわらず、他の子と結婚しちゃったりするからなんですが。
Jolies_12.jpg
仲良くしていたネズミさん。

Jolies_15.jpg

ヘクターくんとのことがあって、すさんだ主人公と仲違い。
ケンカってレベルじゃねえ!ぎゃーーー
負傷したネズミさんは、その後力つき・・・


Jolies_17.jpg
みなさんがおいしくいただきました・・・・・
!!!!!

Jolies_18.jpg
Auroreさんもおいしくいただきました。

・・・・・・・

こういうのが、さらっと次々と出てくるのには驚く。



そして、こうなる。

Jolies_16.jpg

この後、小人達の共同体から抜け、はずれで暮らしているハサミ女Joneさんのもとに身を寄せることに。
Joneさんのねぐらは、山小屋に住む人間のおうち。
まさにアリエッティや!
そこでつかのまの安息をみいだすものの、そこからさらに衝撃のラストが待ち受けているのでありました。
傑作。

この作品、BDのなにかの賞も受賞したらしいいのですが、納得の逸品。
現在、パリの「ギャラリー9ème Art」でKérascoët展が開催中のようです。
日本でもやってくれないかしらん。

追記)
この本はフランスアマゾンから直接入手したんですが、
日本アマゾンでもドイツ語版なら入荷しているみたいです。>Jenseits
また、紀伊国屋でも入手可能>JOLIES TENEBRES
関連記事

この記事のトラックバックURL

http://ppgcom.blog12.fc2.com/tb.php/3860-dbc2f0ba

コメント

タッキー:
これ、そうとうおもしろそう。内容と絵柄のバランスがいい。
BBCあたりの動物ドキュメンタリーみたいな淡々とした生死の描写と想像します。
動画宣伝もいいですね。
日本のアマゾンに入れて欲しいです。…とここに書いたら入れないかなぁ。
奈茄死:
こええぇよ!!(((( ;゚Д゚)))
全体的に怖すぎます。私には理解の出来ない世界です。
ただ、これが間違いなく名作であろう事は何となくわかります。フランス人斬新過ぎ。
十べえ:
うわあ、すっごく読みたいです!!
邦訳が待ち遠しいのはもちろん、長く待つようなら原書でもほしいす!
十べえ:
調べてみたら、アマゾンで買えるようでしたので即注文しちゃいました…w
情報感謝っす!
早く届かないかな…わくわく!!
くろみつ:
ファンタスティック・プラネットを思い出しました。 いいですねぇ~
◆:
あ、日本のamazonで買えるのは多分ドイツ語版ですね。
まとめ買いならamazon.frがいいけど単品なら紀伊国屋のほうがいいかも。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htmy/2800142383.html

随分思い切って紹介しましたねw
本筋とあんまり関係ない69ページの女の子のシーンが好きです。
タッキー:
>◆:
情報ありがとうございます。早速注文してきました。
スカポン太:
紹介したかいがありました。
あ、ドイツ語版なら日本アマゾンにも入ってたのか

>◆さん
かなりネタバレ満載ですが、なかなか入手しずらく、情報も少ないものだと、つい「ここが凄い!」って感じでも事細かく紹介したくなってしまいます。
69ページというと・・・ ああ、ヘクターの股間www

◆:
pokpokpokの女の子ですよw
スカポン太:
なんだそっちか(ボケた)
ももこ:
こんな可愛いキャラなのに
内容がグロい(汗)

notyou:
・・・おつかれさまです。
爾百旧狸:
これはいいじゃないですかあああ!
財布のヒモがスルリとほどけましたw
スカポン太:
マジでオススメです!
ニム:
英語訳はBeautiful Darkness がタイトルで日本アマゾンで11月発売・・・

仕方ない・・・待つか・・・

コメントする

管理者にだけ表示を許可する

Template Designed by DW99