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「ブレンダンとケルズの秘密」東京上映見てきました

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ツインテ アシュリン

今日はデジハリでケルズの上映と監督のトークショー。
こちらは制作者向けな感じのようで、より専門的な話がされてそうなんですが・・・
行って来た方いたら、どんなんだったか聞かせてください!

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そんなわけで、先日23日は大阪ヨーロッパ映画祭拡大版シネマ・アンジェリカでの「ブレンダンとケルズの秘密」上映には行ってきました。
美しすぎて泣く。この作品のアートワークはほんと美しいです。
画面に見惚れていると字幕を読み忘れたりして、たいへんでしたけど。
以前は英語音声のみで、それでもだいたいの内容はわかったけど、今回は字幕付きというおかげで、細かいところまで意味がわかってとてもよかったです。

そのため、今回は修道院長さんに感情移入しまくりだったため、ラストはマジで泣きそうになりました。
修道院長のケラフはブレンダンの伯父さん。名前はケラフ(Cellach)
これ前に見たときは混乱したんですよね。
みんなからはアボット(Abbot)と呼ばれ、ブレンダンからもアンクル・アボットと呼ばれている上に、友人の装飾師エイダンくらいからしかケラフって呼ばれないんですよ。
だから最初は名前はAbbotというのかと思ってたけど、Abbotは「修道院長」という意味。
ブレンダンは「修道院長おじさん」って呼んでいたのか・・・というか、そう言わせていたんだろうなあ。
これだけでもケラフさんが、「自分がどうあるべきなのか」なものが読み取れたはずだったんですよ、本当は。


ケラフは伝説のカリスマ装飾師エイダンの友人にして、同じ優秀な装飾師だった。
しかし、ヴァイキングから一族を守るために、絵を描く事をやめて、絵師ケラフを捨て「修道院長」となることを選んだ。ということなんだと思います。
ブレンダンにも描くことを禁止していた修道院長だけど、晩年までブレンダンが描いた小さな小さな絵を、大切に手元においていたのは、この修道院長様なんだよねえ。
強くあろうとした修道院長の流す涙に心をもってかれましたわー!ぶわっ。

元アニメーターだったけど、スタジオのために経営者となって描く事をやめ、保守的経営をしていたものの、「美しい作品」を作る事こそが一番大切だったと気がつく・・・という意味がこめられていたのだろう。
はい、深読み、深読み・・・まあ、違うとは思うけど(笑)

なんかそういう、「立場のせいで強くあらねばならなかった修道院長」というのが今回よく見えて、前回とはまた違った観方ができました。

初めて観たときの感想を読み返してみると・・・
あははは、やっぱりこの時はかわいいよアシュリンかわいいよ、みたいな感想でしたね。
もうね、あの時はアシュリンのアレはスカートなのかどうなのか、はいてるのかはいてるのかはいてないのかばかり気になって、修道院長はあまり観てなかったからなあ。(だめだこの人)

アシュリンの歌のゲール語部分は「この世は霧の中 現世など一時に過ぎない」。
これはアイルランドの古い言い回しのようで、このセリフはエイダンも口にしていたので、公式な英訳はエイダンのセリフを調べればきっとわかるんじゃないかな。


上映の方は14時の回で観たのですが、補助席まで出してたようなので満席ちょい超え。
2回目の16時の方は聞いた話だと8割くらいだったようです。

1回目の最後にとても簡単な監督舞台挨拶。
登場したらいきなり監督の方が写メ撮ってました(笑)

シネマ・アンジェリカはあまり満席の経験がなかったのか、始まるまでけっこう手間取っていて、そのため上映が少し遅れ、舞台挨拶後の質問時間はほとんど無くなってしまっていました。
なのでそのときの質問は2つだけ。

「ケルズの書は妖精の協力がというアイディはどこから」
「アイルランドは土着の文化とキリスト教が入り交じったところ。それをもりこんだ」
みたいな感じだったかな?

もう一つはゲール語部分の意味。
「エンドロールの箇所でも英語じゃない言葉が流れたんですが、字幕はなかったのでそれの意味は?」
という質問の答が「この世は霧の中 現世など一時に過ぎない」。
歌と共通してるけど、多分同じ言い回しを引用したのだと思う。

この「「この世は霧の中 現世など一時に過ぎない」というのは、日本人にもおなじみの無常観に近いですね。
監督はジブリ大好きなようでが、ヨーロッパはアメリカより「森の文化」が強いだけに、監督に限らずよりシンパシーを感じるのかもしれません。

2回目上映の際には監督の挨拶だけで、質問コーナーもなかったみたいです。

大阪ヨーロッパ映画祭では、サインももらえたりしたようですし、このへんは大阪の方が良かったみたいですね。

上映後はいろんな方々とお会いできて楽しかったです。すごく久々に会えた方もいましたし。
お会いできた方々ありがとうございました!
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コメント

栗むき:
私も14時の上映を観ました

スカポン太さんらしき人を観た気がします(笑
サイト絵のスカポン太さんクリソツという勝手なイメージでですが^^;

私は初観だったので、字幕を見るので精一杯でした;

映画に関してど素人ですが、今までに観たことのない映画だったような…

何なんだろう?この感じ。

「アニメーションを観た」とも「映画を観た」とも感じなかったです。


ケラフさんの涙やバイキングの襲撃などに涙を誘われましたが、上映終了後には私も「アシュリン可愛いよアシュリン身長ちっちゃいよアシュリン////」しか頭になかったですw


ただ日本全国上映となると、「感じる」みたいな所が多く難しいのではないかなと個人的には思います;

バッククォート:
お疲れさまです。実は僕も14時の回に行ってたりします。ニアミスしたかも・・・?

アシュリンもかわいいですが、僕はモブで出てた赤毛の小さな女の子がすげーかわいいと思いました。
えーと、矢をくらって倒れた修道院長さまのそばに来てた子です。。

しかし、あの映像美を堪能するにはやはり字幕はきついかったですね。
タッキー:
先日はどもー。
徹夜明けだったので挨拶だけで失礼しましたが、今度機会がありましがたら是非ゆっくり。
フツーにおもしろかったです。パンガボンの歌もよかった。サントラないのかなぁ。
アシュリンもかわいかったですが、一番感心したのはケルズ書の表現です。
こういった内容の場合、キーになる絵や本がチャチだったらがっかりなのですが、
「本当に素晴らしい絵は動く」ということがシンプルに表現されていて感動しました。
massando:
デジハリのトークショーに行ってきました。

トークショーでは業界や技術の話以外に作品のテーマについての話もありました。
作品に登場する「ケルズの書」は芸術や知識の象徴であり、ブレンダンが森に行くのはそれらを得たいから(アーティストになりたいからと表現していました)。普遍性のあるストーリーとして「世界や周りにオープンでありたい、壁を作っては先には進めない」ということをテーマとしているそうです。
他にもアシュリンとはゲール語で「夢」等を意味し、またアイルランドの地そのものを女性に例えた伝説の象徴であるという話もありました。

その後、質問の受付けがあり、自分はブレンダンとアシュリンが初期のスケッチより年齢が下がった理由等を尋ねてみました。伝説のアシュリンは若い女性の姿をしているが、そうすると主人公との恋愛の話になってしまう。しかし修道僧であるブレンダンが妖精と恋に落ちるのはどうだろうか? ということで恋愛ものになるのを避けるために兄といたずらっ子の妹的な関係になるように変えたそうです。ちなみにアシュリンはムーア監督の妹さんの小さい頃をモデルにしているとのことでした。

トーク後は時間が設けられ、サインやさらに細かな質問をすることができました。

ここでの自分的に最も大きな収穫は、ムーア監督はゲンディ・タルコフスキー監督と親交があり、さらに二人とも『わんぱく王子の大蛇退治』に大きな影響を受けているのが確認できたことです。実はプレゼントとして一昔前の『日本アニメの飛翔期を探る』という展覧会の図録を持参したのですが。その表紙の『わんぱく王子』の絵を見るなり「Oh! Eight-Headed Dragon(八岐の大蛇)!」と驚き、賞賛の言葉を並べたのにはこちらも驚きました。

他にもいろいろ書きたいことがあるんですが・・・スカポン太さん、こちらこそ今度お会いしましょう!
k-なっとう:
昨日はお疲れ様でしたー!!
「ケルズ」はやっぱり素晴らしい作品ですね。
あのアートスタイルにはもう痺れるような感動をおぼえます。

>massandoさん
「わんぱく王子」の影響を受けていたというのは納得できます!
狼や怪物のデザインを見て真っ先に思い出したのが「わんぱく王子」でしたし。
きもっちぃ:
昨日はどうもお疲れ様でした。

私は16:00の回で、監督の挨拶は上映前だけでしたけど、
その代りその前にあった質問の内容についてはちゃんと話してくれました。

他にも、
「感銘を受けた宮崎アニメを私が初めて観た時はまだ日本文化の
ことはほとんど知らなかったけど、アニメの影響で興味を持つようになった。

みなさんもこのアニメを観てアイルランドに興味を持ってくれれば幸いです。

特にダブリンのトリニティ・カレッジミュージアムにある実物のケルズの書は
世界で一番美しい本と言われるアイルランドの宝なので、ぜひ見に来てください」って
言ってました。

実際に見てみたくなりますよね、ケルズの書。アニメーションしなくても(笑)
スカポン太:
>栗むきさん
栗むきさんもいらしてたんですか!
装飾性の高い作品ですから、案外「絵画を見た」という印象も入り交じってるのかもしれませんね。
また、TVシリーズではこういうデザイン性が強いものはあっても、劇場用になるとめったに無いので、そこも特別だったかも・・・うーん言葉にするのは難しいですね。

>バッククォートさん
バッククォートさんもいたのか(笑)
赤毛の小さな女の子って、途中でケルズにおとずれた難民の子ですよね。
うん、いいです。
倒れた修道院長の頭のとこにいた時の、あの構図もすばらしかったなあ。

>タッキーさん
徹夜明けだったんですか。お疲れさまでした。
サントラは確か出ていたような気もするけど、どうだったかなあ?

>massandoさん
なにげに全制覇ですね。
デジハリのトークショーでゲンディの話も出たみたいなのはちょっと小耳にはさんでいたのですが、なるほど。
「わんぱく王子」はムーア監督だけでなく、ゲンディもというのは(とても納得できるけど)驚きです。
他にも報告ありがとうございます。話が聞けてとてもうれしいです。
せっかくだから、このへんの情報も後でまとめたいですね。

アシュリンは「夢」かあ。

>k-なっとうさん
横浜に続き今回もどうもでした。
あの時までは日本で見た事あるのは数十人程度だったけど、これで数百人程度までは増えたかな。
・・・・・ やっぱりせめて日本語DVDくらいは出て欲しいですね。

>きもっちぃさん
こちらこそ先日はどうも。お話楽しかったです。
それからBDもありがとうございました。

ああ、なるほど。質問コーナー自体はなかったけど、前の回での質問の話は出たのですね。
アイルランドについては知らない事の方が多いですね。
エンヤとか大好きなんですが、まずはその程度からでもいいのかな。
「ケルズの書」は実物見てみたけど遠いわー
massando:
昨日は文章を短くまとめようと焦り、いくつか書き落としたポイントがあったので簡単に追加させてください。

ムーア監督はブレンダンに自分を投影させている。
「アーティストになりたい」というのはまさにその表れと思います。

ラストはケルズの書が実在するためファンタジーとして終わらせたくなかった。
これは単純なハッピーエンドにはしたくなかったという意味にとらえたのですが、歴史はこれからも続くので「世界や周りにオープンでありたい」としたかったそうです。

アシュリンは子供のように純粋な存在とコミュニケートできる。
大人になったブレンダンの前に少女の姿で現れないのはそのためのようです。
しかしケルズの書の一葉を拾おうとしたブレンダンの前でもアシュリンは狼の姿のままでした。ケルズと叔父を失なった(と思った)深い哀しみを背負ったブレンダンは既に子供ではなかったということなのでしょうか?
◆:
わんぱく王子のこと聞かれてたのmassandoさんだったんですね。
今思い出したけど、海外での評価の逆輸入でやっと国内でも認識されたって話が
日本でよく聞く話とそっくりで、何処でも同じなんだなーとか思いましたよ。
C.ボロディン:
>ケラフは伝説のカリスマ装飾師エイダンの友人にして、同じ優秀な装飾師だった。
>しかし、ヴァイキングから一族を守るために、絵を描く事をやめて、絵師ケラフを捨て「修道院長」となることを選んだ。ということなんだと思います。

し、知らなかった・・・。こんなにケラフ氏が渋かったとは!というか、ケラフという名前だったとは!
うーむ、これはやっぱ日本語吹き替えのビデオが欲しいなあ。特典とかも豊富な。

ツインテアシュリンかわいいです。
スカポン太:
>massandoさん
追加情報もありがとうございます。
ふむ、ブレンダン=アーチスト=自身を反映 となると、
「修道院長が元アーチストで今保守的経営の経営者」解釈もあながち間違っていないかも。

ブレンダンが大人になった瞬間は気になるとこですが、バイキングに追われていたとはいえ、親の庇護から抜けて独り立ちしたことが「大人」なのかも。
「子供の純粋さ」を監督がどう考えているのかは気になるとこです。

>C.ボロディンさん
実は字幕の表記がケラフなのかケラハなのかちょっと曖昧なんですけど・・・・
ケラフって書いてあったような気がするんだけどなあ。
パンフレットすら無いのが残念です。解説ブックレット付き日本語版DVDなど欲しいですねえ。

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