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集え!ケモノ戦士たち

Warner Bros. Animation Releases New "Thundercats" Image
リメイク版の新「Thundercats」のイメージ画が公開された。
前にも書いたが、これはワーナーブラザーズと日本の「Studio4°C」との共同制作。
以前のものと比べると、ちょっとケモノ率が下がったかなあ。
元のサンダーキャッツは1985年の作品だが、何度か再放送もされていて知名度もそれなりにあるということなんだろうけど、意外に向こうでは好きな人多いみたいですね。
80年代のアメリカアニメシーンは不作の暗黒時代とよばれることが多く、今でも評価が低く紹介されることも少なくよくわからないことが多い。ただ、世代がめぐりめぐって再評価が進んできていつようにも思える。

サンダーキャッツは「SilverHawks(1986)」や「Galaxy Rangers(1986)」などと同様に、この時代に流行ったスペオペ的ヒーローチームもの。
そしてサンダーキャッツはこの後に大流行することとなる「ケモノ系戦士」のさきがけとも言えよう。

80年代といえば、日本ではこの時代はロボットものが流行っていたんだったけか?
そういえば、アメリカの80年代TVアニメのヒーローものは単独の主人公というより「チーム」というのが特徴かも。「特攻野郎Aチーム(1983)」の影響もあるのかなあ。

そんな中登場した「Teenage Mutant Ninja Tutles(1987–1996)」
これがどれだけヒットしたかは今更言うまでもないだろう。
80年代はタートルズ旋風が吹き荒れたが、その後期およびタートルズ後にポストタートルズを狙って90年代中盤からケモノ系戦士が次々と登場してくることとなる。
と、その前に押さえておきたいのが「Samurai Pizza Cats(1991)」

これは日本のアニメ「キャッ党忍伝てやんでえ」のアメリカ版。
手がけたのはパワーレンジャーやタートルズの実写特撮ヒーローもの「Ninja Turtles: The Next Mutation」のsaban。
「タートルズ的なケモノ系戦士」をサバンが狙っていたのがわかる。
「ケモノだし!ニンジャ(サムライ)だし!ピザだし!」みたいな。

それを経て、その後実際にアメリカでケモノヒーローカートゥーンが次々登場してくる。
超能力やスーパーパワーといったスーパーヒーローではなく、上記の流れにあるように「特攻野郎Aチーム」や「ニンジャタートルズ」のような、ワイルドなエージェントチームという感じが多いのも、このへんの時代の特徴かもしれない。

というわけで、90年代のケモノ戦士特集
Swat Kats(1993)

「やっぱ猫だよね」
ってことで、あのハンナバーベラが作ったケモノ戦士。
ただ、日米合作ということで、作画は日本の「IMAGIN

Biker Mice From Mars(1993)

「じゃあ俺たちはネズミで」
マーベルからコミックも出ていたようだし、けっこう人気あったのかな?
タートルズのリメイク版もけっこうヒットしたためか、新タートルズの4Kidsがこちらも2006年にリメイクした。


Street Sharks(1994)

「カメでいいなら、サメでやったほうが強そうじゃね?」
サバンとよく手を組むDIC Entertainmentがやらないわけがない。
もちろんサメたちもピザ好き。もろにタートルズの後がまを狙ってる。

Road Rovers(1996)

「では、私たちは犬で」
このブームにのってワーナーも制作。
前に紹介した『日本とアメリカのアニメのキャラ化のセンスの違いを比較してみたグラフィック!! 』の犬の項目でサンプル例に出されているのが、この作品の紅一点Colleen。だからけっこうケモノ好きには人気キャラなのかも。
面白いのは、主人公のHunterはアメリカ犬、Colleenはイギリス犬などとメンバーの国籍(?)が全部違うところだ。さすがのこだわり。

Creepy Crawlers(1996)

「なんだかわからんが、とにかくキモいやつでどうよ」
そしてサバンが手がけたのがこちら。(というわけでアメリカ市場狙いだけれども制作はフランスになるのかな?)
元々あったキモ系玩具のアニメ化ってことなんですが、あきらかにタートルズ路線を狙っている。
しかし、さすがにここらへんから末期臭が。

Extreme Dinosaurs(1997)

「サメのウケはイマイチだったけど、恐竜ならもっと強そうだろ!」
と、こりないDICが再び制作。すごい末期臭・・・・

Mummies Alive!(1997)

「じゃあ、ミイラで・・・・」
同じくDICが制作。(どこかわからなかったけど、これも日本のスタジオがからんでるんじゃないかなあ)
もうケモノから外れて人外ヒーローに変わっているのがわかる。

まあこちらはディズニーの「Gargoyles(1994)」の路線の系譜だとは思いますが。
こうしてみると、「ガーゴイルズ」は突然出て来たものではなく、ケモノを広くとらえた「人外ヒーロー」の枠の流れの中にあったものだと認識できるかもしれない。

その後、2000年代に突入すると「普通の子の日常もの」などが台頭していき、また流行は変化していく。

「モンキーチーム」や「BEN10」などこういう「人外ヒーロー」の系譜はいまだ続いてるとは思うけど、さすがに「タートルズ的」な感じからは大きく変化したように思えます。

とまあ、ケモノヒーローから見たアメリカアニメの流れでした。
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コメント

ふこをさん:じゃあお相撲さんで
>Super Duper Sumos
スカポン太:
そういえばそんなのもww
さすがぼくらのDIC。他の追随をゆるさない安定感ぱねえ。
スカポン太:
そういえば寿司さんたちもDICか・・・・
80年代からDICはまったくブレてないんだなあ。すごいや!
通りすが郎:
>Samurai Pizza Cats
これ知ってる!
前にYOU-TUBEで何かの拍子にこの動画を発見して、
これはテレ東で放映されていたアニメだったんじゃないかなと調べたら「キャッ党忍伝てやんでえ」ということがわかった。
「Samurai Pizza Cats」はアメリカではカルト的にな人気があって、
熱心なファンサイトを見つけたことがあります。
dAで検索すると1535件の投稿がありますね。
ttp://browse.deviantart.com/?qh=§ion=&q=Samurai+Pizza+Cats

「てやんでえ」はパラレルワールドの江戸時代という設定なので「生類憐みの令」をネタにした回もあったようで、
どうやって日本人にしかわからない話をアメリカ人にもわかるように再編集したのか気になりますね。

>Swat Kats
メタルなインストですね。
たまにアメリカの特撮もの、カートゥーンはメタル調やパンク調なOPがありますね。
最近のだとメタル調なのは「KAMEN RIDER」、パンク調なのは「MEGAS XLR」。
ビニールマン:
やはり、日本のケモノ耳と本場のケモノは違いますね
まぁ、問題は首から下なわけですが…って何の話?

我が国でも、TRUMP先生とか「本場のケモノで、しかも「大人向け」派」はいることはいますが、やはり少数派ですかねぇ

私の「目が確かなら」、ケモノキャラは「多少顔立ちや四肢のバランスがおかしくても、眼だけは人間の目」という共通点があるようです
(これは、某ミッキーやトムジェリ以来の伝統です)
「目は心の窓」とはよく言ったものです
スカポン太:
>通りすが郎さん
通りすが郎さんの感想はおもしろいですね。
いつも自分とは違う方向からくるので、ほう、と思ってしまいます。
まあOP見て「これはメタル調、こっちはパンク調」ってとこなんですが。
自分はあまりそういうところ意識してないもので。

「Samurai Pizza Cats」は人気あるみたいですね。
ソニック・ザ・ヘッジホッグといい、こういうキャラクターは海外の人たちは本当に好きなんだなあと思います。

>ビニールマンさん
目というのは確かにそうですね。
感情表現を見せる部分に「人間的」というものを感じるのが人間なのかもしれません。
まあ、ワンダーペッツみたいなやつもありますけどw
通りすが郎:
>「これはメタル調、こっちはパンク調」
多少洋楽を聞きこんでいたせいか、
アニソンで洋楽に影響されたらしき歌があると「あ、これは何たらに影響された?」と思ってしまうのですよ。
それでスカポン太さんのブログで紹介されたカートゥーンをチェックするとメタル、パンクから影響されたなと思う主題歌がたまにあります。
wakfu主題歌もずーっと前からメロディとコーラスの部分で
「これNightwish、Evanescenceからの影響を受けているんじゃないの?」と思っていました。

カートゥーンには「ビーバス&バッドヘッド」「Metalocalypse」とメタラーをネタにしたギャグアニメがありますけど、
僕はそういうものも好きですがメタルと無縁そうなアニメ、カートゥーンからメタルネタをやっているのに遭遇すると嬉しくなります。
例えばこんなの。

※ドイツの豚さんのカートゥーンらしい?
http://youtu.be/Cs6Q10vXfyc

※Duck DodgersにMEGADETHのデイブ・ムスティンがゲスト出演
http://youtu.be/TwNIABdqBxY

※ビリー&マンディの死神ライブ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm12612829
スカポン太:
どもです。
おかげさまで、wakfu主題歌も最近「こういう感じ」というのが少しわかってきたような気がします。
自分では無理ですが、海外の主題歌の音楽性の文化差比較とかあると面白そうです。
アメリカやヨーロッパ、ヨーロッパでもドイツやイタリアなどでもなにか傾向や影響がありそうですし。

ドイツの豚メタルはなんなんでしょうねえ。これだけは知りませんでした。

そういえば、アメリカカートゥーンを見ていると「ヤングの音楽」っていったらヒップホップという感じで、メタルは「おっさん趣味」な感じがあります。
通りすが郎:
>メタルは「おっさん趣味」
90年代のアメリカではグランジブームで全くメタルの人気がない「メタル冬の時代」だったからねぇ。
あの頃のアメリカでは「メタルは時代遅れの音楽」と見做されていて、ライブをやっても観客が集まらなかったんですよ。
それで、その時にアメリカでは「おっさん趣味」というイメージが出来上がったので、
今でも引きずっているのはわかる。
最近はアメリカでもメタルは若いファンがついてきているけど、
メタルネタのコメディだとディズニーの「爆音家族」みたいにメタラーのおっさんが頑張ってますみたいな話になるからねぇ。
メタルは1970年代に誕生した音楽で40年の歴史があるから、
歴史が浅いヒップホップの方が「ヤングの音楽」になるでしょうね。
スカポン太:
「爆音家族」!
なるほど、やはりそういうおっさん音楽的イメージは外れてもいなかったのですねえ。
爆音家族などでもおっさんの方が盛り上がってるというか、世代的にちょい一昔前の音楽なのかなあ。
アメリカとヨーロッパでは少しニュアンスが違いそうなのも面白いです。
フィンランドでは幼児に大人気なんですものね(笑)

カートゥーンなど見ていると、作る側の世代がその世代っぽいので、メタルネタの方が愛を感じます。ヒップホップとかは無理して「今の流行だから」みたいな感じで入れてるっぽいのに。
通りすが郎:
>ニュアンス
ちょ、ちょっと長文を書きたくなるようなネタを振ってこないで下さいよ(笑)。
スカポン太さんが言っている事は正解で、
実際にアメリカとヨーロッパのメタルに対するニュアンスは違うんですよ。
この話をすると90年代のグランジロックブームがメタル界にどんだけ大打撃を与えたとか、
2000年代になるとメタルは少しずつ人気が戻ってくるけどアメリカとヨーロッパの状況が違っていたとか、
2000年後半に大ヒットゲーム「ギターヒーロー」によってアメリカのメタル界の状況が変わり始めるとか、
まあ話が長くなってしまうのです。
スカポン太:
わあ、また面白そうな話が~~~ww

やっぱりそうなのかぁ。
グランジっていえばニルヴァーナくらいしかピンとこない私ですが、あれメタルを駆逐するほどブームだったんですね。

それよりもメタル復活がゲームからというのが意外でした。
そういうこともあるんだ・・・・・

サブカルジャンルって最近は細分化されていて、アニメならアニメの話だけみたいなことが多いのですが、こうやっていくつものジャンルがクロスする視点でとらえると、めっちゃおもしろいですね。
通りすが郎:
話が長くなるので、さてどうやって話を簡潔に纏めようかと思っていたら2日も立ってしまいました(苦笑)。
お待たせしました。アメリカとヨーロッパのメタルに対するニュアンスの違いの話をします。

まず、どうしてアメリカとヨーロッパがメタルに対する感覚が違ってしまったかというと90年代のグランジブームに遡らないといけません。
80年代はハードロック/へヴィ・メタルにとって第1次黄金期であり、若者にメタルが支持されていた時代でした。
ところが90年代にシアトルのニルヴァーナというバンドが注目されあっという間に
全米で大人気になりオルタナティブ/グランジロックブームが起こります。
グランジロックの生々しいパンキッシュでへヴィな音楽はある意味パターン化して飽きられていたメタルを駆逐してしまいます。
また当時の欧米の若者にとって恋愛、ファンタジー、反逆をテーマにしたメタルより
先が見えない不安や孤独を歌ったグランジの方がずーっとリアルな世界を歌っていて支持されたのです。
それでレコード業界も様式美的なメタルは「時代遅れ」と判断し、メジャーは次々とメタルバンドとの契約を破棄し、
ラジオでもメタリカ、パンテラ、ロブ・ゾンビ等の一部を除いてメタルは流れなくなります。
この音楽業界のメタル駆逐はヨーロッパにも波及し、世界的なメタル冬の時代になります。
契約を破棄されたメタルバンドは仕方がなくインディーの世界に戻るものの、
インディーズでは充分なツアー費用はでないし宣伝力も劣るのでライブをやってもお客が入らなくなり、
世界中のプロモーターもメタルを敬遠するという悪循環になります。
ただし、日本、アジアだけは様式美的なメタルが人気があったので、
アジア圏をCDを発売しツアーして何とか食いつなぐメタルバンドもありました。
そういうバンドは業界的に「ビッグ・イン・ジャパン」という嘲笑的で有り難くない称号を貰いましたが。

で、ここからがデリケートな話。
90年代グランジにハマったロックファンの中には音楽業界が「メタルは商業的でリアルな本当のロックではない」というプロパガンダを流したせいか、
今でもメタルがファンタジーを題材にしたテーマにした歌を歌い、様式美的でテクニカルなソロをいれることに批判的な人が一部にいる。
人気マンガ「BECK」も主人公がグランジバンドのボーカルという設定なのでメタルをディスっている回があるらしい。
あるらしいというのは、僕がそういう話を聞いて不愉快な気持ちになりたくないので未だに読んでいないのです。すいません。
で、その一部のグランジファンの「メタルはダメ」というイデオロギーが正しいかどうかは別にして、
90年代はそういうイデオロギーが世界中に広まってしまいメタルの生き場所がアジア圏以外はなくなってしまった原因の一つになっている。
「テクニカルなギターソロを弾くバンドはダサい」という声もあったそうだし。
だから当時のメタリカは極力ギターソロを弾かないようにしオルタナティブな要素もいれたへヴィな“普通のロックバンド”になり生き残った。
それで、何がデリケートかというと、メタラーと当時グランジにハマっていた人達では90年代に対する見方が違う事です。
やっぱりグランジが好きな人達には90年代はロックが変革された素晴らしい時代なので、
メタラーが90年代が如何にメタルというジャンルにとって試練の時代だったかという話を滔々とすると論争が起きるかもしれないのです。
それにグランジファンの中には「グランジはフレンドリーなムーブメントでメタルを敵視していない!」という人もいるのですよ。
実際グランジはブラックサバス、レッド・ツェッペリン等の70年代のハードロック/へヴィ・メタルは評価していたからね。
スカポン太さんのブログはメタル専門サイトではなく不特定多数の人が見るので、
僕がメタラー視点で「グランジとはこうである」と少しでもネガティブな視点で言うとコメント欄が炎上してしまう可能性もあり、
本当に語るのが難しい時代でもあるのです。
一応僕はこれでも公平に書いたつもりですが、もしこのコメントを読んで気を悪くされた方がいましたらすいません。

>あれメタルを駆逐するほどブームだったんですね
この前メタル誌を読んでいてびっくりしたのですが、
今の若いメタラーには90年代がグランジブームによるメタル冬の時代だったことを理解できない人がいるという話がありました。
スカポン太さんのようにグランジがメタルを駆逐したことを知らない子供たちがいるのです。
去年グランジブームの中核だったパールジャムの新作が1位を取りましたが、
アメリカでは当時のような「世界を変える」ような熱狂はなくU2のような老若男女に支持される人気ロックバンドという感じのようです。
メタルバンドも80年代のようなブームではないけどBillboardのアルバムチャートに入り、それなりに若者にも人気があります。
つまり90年代は過去になってしまったわけですが、あの頃はメタル界が消滅する危機的な時代だったのです。
ぶっちゃけ、90年代を生き残ったベテランバンドの中にはグランジブームの頃をよく言わないバンドもいます。

というわけで、90年代の話をしただけでこんなに長くなってしまったので1度切ります。
次は2000年代の話をします。
スカポン太:
お疲れ様です!
読み応えありすぎです。

やはりニルヴァーナか・・・自分が知ってるくらいだものなあ。
時代背景を私にもわかりやすく噛み砕いてくれたおかげで、なんとなく掴めました。
特に語れないあたりの行間に、いろんな確執がひしひしと感じられますねえ。

一時期日本への大物アーチストツアーが多かったのは、そういうことだったのか。
でもそれは現地ではすでにトレンドな大物じゃなかったという話なのか、せちがらいっすねえ。

なるほど、としか言えない自分ですが、次回も期待(ワクワク)
通りすが郎:
>次回も期待
ありがとうございます。

90年代がグランジブームが世界中に広がりメタルを駆逐した話までをしましたが、
1994年にニルヴァーナのボーカルでグランジ界のカリスマだったカート・コバーンが自殺したことでブームが徐々に弱まっています。

90年代後半から徐々にグランジが弱まっていくことによって、欧米のメタルシーンは少しづつ復興していきます。
ただ、ヨーロッパのメタル界とアメリカのメタル界の復興していく過程が微妙に違うのです。これがニュアンスが違う原因の一つになっています。

さて、90年代はメジャーから契約を切られたメタルバンドがインディーズの世界に戻っていったという話をしましたが、
これが今思えば「塞翁が馬」で悪いことばかりではなかった。
何故かというと、メタルがインディーズになったことによって、
欧米でメタル専門のインディーズレーベルが力をつけていったからです。
アメリカのMETAL BLADE、ROADRUNNNER RECORDS、ヨーロッパのNUCLEAR BLAST、CENTURY MEDIA、SPINEFARM等の
強力なインディーズ・メタルレーベルは当時からベテラン、新人と次々と契約し活発な活動をしていました。
それが今になってみると2000年代のメタル復興への大きな原動力となっていることに気づきます。
そしてもう一つ今思えば悪い事ではなかったと思う事は、
メタルが地下に潜る事によって欧州ではヴァイキングメタル、ゴシックメタル、メロディック・デスメタル、ブラックメタルの
様々なメタルのサブジャンルが生まれたことです。
それらのサブジャンルの代表的なバンドは後に母国で大ヒットして、
2000年代後半にはアメリカのメタルシーンに大きな影響を与えました。

さて、アメリカとヨーロッパのメタル界の復興の違いの話に移りましょう。
まずアメリカから。
アメリカではグランジが弱まるのと入れ替わるように
ラップ、グランジとメタルを組み合わせたNU-METAL(ニュー・メタル)が誕生します。
NU-METALで代表的なバンドがKORN、LIMP BIZKIT 、DEFTONES、 SLIPKNOT、 Disturbedです。
これらのバンドは一応メタルなのでメジャーと契約を得るまでは苦労したそうですが、
当時グランジとは違うへヴィな音楽を求めていた若者達に支持されるようになりチャートを徐々に上がっています。
この流れに目をつけたのがへヴィ・メタル界のゴッドファーザーのオジー・オズボーンです。
オジーは1996年にグランジのフェスティバル形式ツアーのロラパルーザへの参加を断られたことを切っ掛けに、
オジーがトリで若いニューメタルバンド達がサポート(前座)を務めるオズ・フェストを開催するのです。
アメリカの音楽業界は「メタルは時代遅れ」なのでオズ・フェストは失敗すると見ていたのですが、
ところが業界の予想に反して大成功に終わります。
そしてオズ・フェストは1997年も開催され、グランジの祭典ロラパルーザはオジーにお客を奪い取られてこの年で終了してしまうのです。
それから2000年代前半のアメリカはニューメタルブームに沸き、KORN、LIMP BIZKITは次々と大ヒットを飛ばしグランジを駆逐してしまいます。
ただしニュー・メタルは80年代のメタルとの差別化を図る為に、ボーカルはラップで歌う事を強調し、
グランジブームの頃の「ギターソロはダサいので弾かない」というイデオロギー(大げさか。)を継承します。
スカポン太さんがイメージしやすいようにKORNの動画を↓に貼っておきますね。
http://youtu.be/aXmKf8gPTGQ

そういう流行に影響されて当時のアメリカの音楽業界では80年代メタルは「おっさん趣味」で
0年代の「ニューメタルは新しいへヴィな音楽」という差別化をはかりました。
スカポン太さんがいうアメリカのメタルはおっさん趣味というニュアンスは
こうして90年代のグランジー→ニューメタルというトレンドの変化でできあがったのです。
しかしニューメタルの「ギターソロを弾かない」というメタルの伝統を否定する傾向は、
メタル界の地下シーンでは「本当にニューメタルはメタルなのか」という疑問や反発を生みます。

おっと、アメリカのメタルシーン復興の話でかなり長くなってしまいました。
ヨーロッパのメタルシーン復興の話は次回にしますね。
スカポン太:
KORNの動画みました。
これメタルだったんですか。というか、ニューメタルと言うべきですかね。
一応アメリカではニューメタルの形となってメタル復活したということでいいのでしょうか。

インディーズ化することで多様性が生まれたというのは面白いです。
次回はヨーロッパ編!すごく楽しみです。
墓場魔太郎:
割り込み失礼します

私KORNはかなり好きですよ、1stは墓場に持っていきたいと思う程ですから
ニューメタル盛でもかなりゴスっぽい感じなのが好きですね(格好は全然そうじゃないですが)
ちなみに通りすが朗さんの貼った曲はAll Day I Dream About S○Xの略名です
この正式タイトルで察したかもしれませんが、このバンドはかなり病んでいます
このバンドの黒い部分はほとんどがボーカルの影響によるもので小さい頃から近所の人に虐待され学校でもいじめ地獄だったことが創作に繋がっています


Korn-Faget
http://www.youtube.com/watch?v=_T6nUXoGapM

例えばこの曲はジョナサン(KORNのボーカルの名前)が同級生に"カマ野郎"って罵倒されたことを歌詞にした歌です、タイトル名も"オカマ"そのままです


この病んだ暗い世界観を持つ為かファン層もメタラー以外にもゴスファンにも指示されていてます、最もジョナサンも80年代のゴシックバンドには影響を受けていたようですが。興味持ったら是非他のエモやゴスバンドと聞き比べるのも面白いかもです


通りすが朗さんのメタルの語りも熱かったですよ

>>人気マンガ「BECK」も主人公がグランジバンドのボーカルという設定なのでメタルをディスっている回があるらしい
ぶっちゃけあの漫画はそういうシーンが多いです
音楽漫画はたいていどれもそうなんですが、作者の好きなバンド以外はどうでもよく書かれてることが多いです
特に『BECK』に関しては作者の偏見やロッ○ンオンに対する執着が特に酷く一部のロックファンはその部分が気に入らないと思っている人も多いようです
例えばV系は勿論それ以外で化粧しているバンドも全く無視で、作中にゴスバンドやグラム系のバンドの名が出るのは皆無でした
他にも某ペケのリーダーを明らかな悪役として登場したりなどと作者独断のロック観で物語が進んでいます
私自身は世代的にグランジもメタルも隔てないので漫画は読みますが、それでも作者の偏見だらけの見解に正直呆れる部分も多いです
通りすが郎:
>墓場魔太郎さん
KORNの補足ありがとうございます。

>BECK
僕は読んでいないのでBECKについてあれこれ言えないのですが。
ただ、90年代のロッキング・〇ンに影響されたのかぁ~という感じですね。じゃあ仕方がないかもしれない。
0年代からのロッキング・〇ンはNU-METALブームを受けて、メタルバンドにもちゃんと取材をして記事を書くようになったけど。
通りすが郎:
>スカポン太さん
>アメリカではニューメタルの形となってメタル復活
その通りです。説明がわかりにくくてすいません。
そのことについて補足すると、当時のアメリカの音楽業界は「80年代に流行った伝統的なメタルはおっさんしか聞かない終わった音楽で、
ニューメタルが新しいメタルの本流なんだ」というような宣伝をしていました。
つまりギターソロやコーラスがある伝統的なメタルは「おっさん趣味」としたんですね。
ロッキング・〇ンもアメリカの影響を受けて、ニューメタルバンドを従来のメタルを超えたラウドロックという造語を作って取り上げました。
ただね、これは2000年代後半のアメリカのメタルシーンの変化にも繋がっていく話なんですが、
アメリカの地下メタルシーンでは徐々に伝統的なメタルを否定したニューメタルへの反発が広がっていき、
ニューメタルとされたバンドの中にも「俺達をあんな下手クソバンドと一緒にしないでくれ」という声も出始めるのです。
SLIPKNOTが初来日した時に「YOUNG GUITAR」誌で80年代早弾きギタリストで有名だったイングウェイ・マルムスティーンを絶賛し、
バンド名は挙げませんでしたがニューメタルバンドの殆どがギターソロを弾く技術がないのに「ソロはダサい」と開き直っていると
ぶちまけていたことを覚えています。ちなみにSLIPKNOTは当時では珍しくヨーロッパのメタルシーンに詳しいバンドで、
後にイギリスツアーの前座にスウェーデンのIN FLAMESを起用しニューメタルファンを困惑させます。
0年代前半のアメリカのメタルシーンはこんな状況だったので、
当時アメリカのメタラー達は北欧を中心としたヨーロッパではニューメタルとは違った別種のメタルシーンが存在することを知りませんでした。

さて、ヨーロッパのメタル復興に移りましょう。
前回ヨーロッパのメタルシーンが90年後半から様々なサブ・ジャンルを生み多様化していった話はしましたが、
それらのバンドはヨーロッパの大手インディーズ・メタルレーベルがどんどん若者達にプッシュして宣伝し、
徐々にヨーロッパ各国のヒットチャート上位に上がり始めポピュラリティを得始めます。

2000年代前半のヨーロッパのメタルシーンはアメリカのメタルシーンとは大きな違いがありました。
まずヨーロッパはアメリカのニューメタルブームからは全く影響を受けなかったこと。
ヨーロッパのメタルはメロディアスでテクニカルな伝統的なメタルから影響を受けていて、
アメリカが古臭いと否定していたギターソロを守り続けていました。
それからトラッド・フォークやオペラ、クラシック・ミュージック等の美意識的なヨーロッパの音楽を取り入れた事。
そしてヨーロッパとアメリカのメタルシーンの最大の違いは80年代のメタル黄金期を作り上げた先達者へのリスペクトです。
アメリカでは「時代遅れ」と否定されたIRON MAIDEN、JUDAS PRIEST等のベテラン達を
ヨーロッパの若者達は最大のリスペクトをもって迎えたのです。
ヨーロッパのメタルシーンはアメリカの音楽から隔離され純粋培養された独特なシーンを形成していきます。
こういう状況が0年代前半のヨーロッパで空前のメタルブームを起こし、
各国のチャート上位にアメリカでは忘れられたベテランや地元のメタルバンドがチャートインするようになります。
特にスウェーデン、ノルウェー、フィンランドの北欧三国はメタル熱が熱くヨーロッパ最大のメタルのメッカと化します。
ここで0年代前半にヨーロッパで人気があったメタルバンドを挙げておきます。

Stratovarius
http://youtu.be/9-4Gm6VG4O0

HAMMERFALL
http://youtu.be/37Rhr_mKZbU

Opeth
http://youtu.be/loGXDKEwFZs

Children of Bodom
http://youtu.be/hjZXUyvFQDA

IN FLAMES
http://youtu.be/4LJOYxVuIyw

この0年代前半にヨーロッパで起きたメタルブームは南米にも波及し、南米でも伝統的なメタルをリスペクトしたメタルブームが起きます。
それらの熱気によってヨーロッパ、南米ではメタルフェスが盛んに行われるようになり、
ドイツでは1990年に1回目が開催された時はごく少数のメタラーしか集まらなかったメタルフェス「ヴォッケン・オープンエア」が
98年からどんどん規模を拡大していき世界中からメタラーが10万人近く集まるヨーロッパ最大のメタルフェスへ成長します。
だからヨーロッパではアメリカと違いメタルが「おっさん趣味」ではない若者の音楽と受け取られるようになったのです。

ヨーロッパとアメリカのメタルシーンは0年代前半は交わることはなかったのですが、
アメリカの地下メタルシーンがニューメタルを批判し始めたり、
インターネットが普及しアメリカ人が外国の音楽を容易に知る事できるようになったことや、
ギターヒーローが大ヒットしたことによって、
今まで交わらなかったものが交わるようになり0年代後半には欧米のメタルシーンはまた大きく変化をします。
で、0年代後半の話は次回に続きます(笑)。
スカポン太:
熱くて濃くて読み応えありすぎるコメントにどうしていいやら!w

こちらのヨーロッパメタルバンドはけっこう「メタルっぽい」って感じがしますね。
Children of Bodom とか。

そして次回はやっと0年代後半戦。
こちらも楽しみにしてます。
通りすが郎:
2000年前半はアメリカとヨーロッパのメタルシーンは大きく違っていたということまでを話しました。
ところが0年代後半からまた大きく変わるんですよ。今日はその話をできるだけ短く簡潔(苦笑)にコメントしますね。

0年代前半のアメリカはニューメタルブームにわいていたから、
ちょっとメタルを広く浅く聞くみたいな若者はニューメタルしか聞かないし知らないという状況でした。
ですが、地下のメタルマニアは伝統的なメタルを否定するニューメタルシーンに不満を持っていました。
0年代前半のアメリカの状況を上手くすくっているのはメタゲー「Brutal Legend」オープニングです。
マニアックなメタラー達のニューメタルへの不満をぶちまけた秀逸なオープニングなので観て下さい。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8493234

メタルマニア達はアメリカで聞きたいメタルがないので色々と探求しているうちにヨーロッパのメタルを発見し飛びつきます。
彼らが飛びついた理由は前回を読んでいれば察しがつくと思います。
それでアメリカの地下メタルシーンは北欧メタルをリスペクトし、アメリカのメタルと北欧メタルを融合した音楽を作り上げます。
この北欧メタルをリスペクトしたアメリカのメタルムーブメントを「メタルコア」と言います。
メタルコアの代表的なバンドを2つ↓に挙げておきます。よーく聞くと、音楽のそこかしこに北欧メタルからの影響があることがわかります。

SHADOWS FALL
http://youtu.be/fAYbRHCFOEo

Killswitch Engage
http://youtu.be/OoQrwKJtv_c

メタルコアバンドは北欧メタルをリスペクトしているので、ヨーロッパのバンド達に一緒にアメリカツアーをしないかと声をかけます。
ヨーロッパのメタルバンド達もその呼びかけには乗り、メタルコアバンドと一緒に全米中の小さなライブハウスをツアーしました。

また、アメリカの地下シーンではヨーロッパへのリスペクトと同時に80年代の伝統的なメタルへの回帰をし始めます。
80年代メタルをリスペクトした新世代メタルバンドも2つ取り上げておきます。

avenged sevenfold
http://youtu.be/P8C9y_KY47E

bullet for my valentine(イギリスのバンドですが80年代回帰的な新世代メタルバンドの代表なので)
http://youtu.be/tTLlbhlg1GM

80年代をリスペクトした新世代メタルバンド達は10代後半から20代後半まで比較的に年齢が若く、
中には80年代に生まれていない子供たちのバンドもある。
何故こういう現象が起きたかというと、彼らは子供の頃に両親から80年代メタルを聞かされて育ったからです。
「おっさん趣味」は親から子へ引き継がれたわけだ。

音楽業界もヨーロッパ勢、メタルコア、新世代メタル等の活発な動きを無視できなくなり、
MTVやラジオは彼らの音楽をプッシュし始めます。
またオジー・オズボーンや他の大物バンドも2005年ぐらいからメタルコアや北欧メタルを前座につけます。
ただ、最初はニューメタルしか聞いたことがないアメリカのメタラー達は
ギターを早弾きしたりキーボードソロを入れたりする北欧メタルを観てどう反応していいかわからず困惑したそうですよ。
当時Children of Bodomのボーカルアレキシ・ライホはアメリカのキッズはキーボード・ソロが入るとポカンと口を開けているという話をしています。

そしてアメリカでTVゲーム「ギター・ヒーロー」が大ヒットします。
このゲームには80年代から現代までのメタルが収録されているので、
アメリカの一般家庭の子供たちの中にはこんなクールな音楽があったのかとメタルを再発見します。
これによって一部のアメリカ人の子供たちにはメタルはクールな音楽として再評価され、
YOU-TUBEで必死にギターソロのコピー動画を投稿するメタル小僧が増殖します。
そしてアメリカのメタルシーンは2000年代後半頃からギターソロが復活します。

前に「爆音家族」の話をしましたが。
あれは落ちぶれた80年代メタルバンドを当時まだ生まれていなかった10代のギター小僧が
「皆は時代遅れとバカにするけど彼らはクールなんだ」とサポートするシットコムだけど、
実はギターヒーローと両親からの影響でメタラーになった少年が増えているという現象をすくいとったリアルな話なのです。

現在のアメリカのメタルシーンはIRON MAIDEN、AC/DC、METALLICAのようなベテランバンドから
ニューメタル、メタルコア、北欧メタルまであらゆるサブジャンルが満遍なく受け入れられるようになり、
何となくヨーロッパ、南米のように多様化しているように見えます。
まだアメリカはメタルは「おっさん趣味」というイメージも引きずっているので熱気の部分ではヨーロッパに負けますが。
でも、プロモーターはメタルバンドを敬遠せず呼んでくれるようになったし、チャートも健闘しているので90年代の頃より遥かにマシです。
というわけで、アメリカとヨーロッパのメタルへのニュアンスがどのような歴史過程を辿って違っていったのか理解していただけたでしょうか。
このようにまとめさせて頂いでこのお話は終わらさせていただきます。
スカポン太:
お疲れ様でしたー!
この一連のテキストちょっと保存しとこう。

「Brutal Legend」おもしれえww
本物のメタルってやつを教えてやるぜ!みたいな感じですかね。
特にデフォルメされてるんだと思うけど、ニューメタルがラップを取り入れたってのよくわかるなあ。こういうイメージなのか。

そして「爆音家族」が出て来たという時代背景が理解できました。
0年代後半は特にネットの影響というのは大きそうですね。
けもどら:
今から2、3年前の記事にコメントをするのはアレなんですけど…
EXTREME DINOSAURやMUMMIES ALIVE!といったアニメを制作したDICは、
他にも「DINOSAUCERS」という、1987年制作の恐竜アニメを制作しました。
スカポン太
ども。そういうのもあったんですね。
さすがDICや、なんでも作るなあ
けもどら:
そうですねwついでに言うと、その「DINOSAUCERS」は俺の大好きな海外アニメの一つで、
イクシオザウルスを軸に恐竜好きになった動機のアニメなんですwww

昔、YouTubeでDINOSAUCERS本編が上がってましたが、最近削除されたのか、
見ることができませんが、スペイン語版(かな?)が上がっているので、興味があったら
YouTubeで「DINOPLATIVOLOS」と検索して観てください!

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