レインボーブライトと戦う魔法少女
こえだちゃんもリニューアルされましたが、そのリニューアル度がもっと高いのがアメリカン女児玩具。
玩具というよりキャラクターという方がいいのかな。
近年になって次々と大幅リニューアルが続いていますが、今回はレインボーブライトを紹介する。
(と、簡単に紹介するつもりだったけど、ちょっと長いです)

「Rainbow Brite」
こちらはHallmark Cardsのキャラクター。
他の伝統的な女児向けキャラと違い1983年登場という比較的新しめなキャラで、なおかつその80年代生まれという時代性を強く反映していて、メルヘンチックながらも極めてSF的なのが特徴。
カラフルなアトミックベティとでもいうか。

Rainbow Brite & her friends
レインボーブライトと仲間達。
レインボーというだけあって髪の色を含めて色分けされたキャラクターたち。
ミステリアスな黒髪っ子や、メガネっ子も完備。青や緑や紫といった髪も別に日本だけのものではない。
登場に合せてTVアニメとしても放送開始。
■Rainbow Brite(1984)
TVシリーズ 全13話
アメリカ・フランス・日本の合作作品。
合作とはいえ、アニメの実制作は日本の「東京ムービー」。
監督はJean Chalopin、Andy Heyward、片山哲生
出崎統や杉野昭夫も参加している。
■Rainbow Brite And The Star Stealer(1985)」
レインボーブライト映画版。
こちらもアメリカ・フランス・日本の合作だが、こちらはワーナーブラザーズと東映アニメーションの合作となっている。
監督は矢吹公郎、Bernard Deyriès
設定は、遠い遠い虹の生まれる場所「レインボーランド」からきた魔法少女レインボーブライト。
そんな彼女が愛馬スターライトとともに、ベルトのマジカルパワーで闇の住人達と戦うお話。
設定そのものはマジカルファンタジー的だが、ビジュアルはとてもスペースオペラ。
SFっぽさは時代ですかねえ。80年代中期はスペースオペラ大流行的な背景があったのかもしれない。
ちょうど日本ではそのちょい前に出崎統が「スペースコブラ〔1982年)」を作っている。
その出崎統コブラの次に関わった作品こそ、このレインボーブライトなのだ。
もしかしたら海外の制作ペースを考えると同時期に作っていた可能性も。
このレインボーブライトは1990年に日本でも放送されたことがあったようで、
そのタイトルは「魔法少女レインボーブライト」
そう、魔法少女だったのです!
あ、一応ここは驚くとこなんですけど・・・
なにが驚くべきかといえば、このレインボーブライトはその当時、日本ではまだ「不思議少女の日常もの」だった「魔女っ子もの」全盛のころに、すでに「戦う魔法少女」のスタイルをとっていたことである。
・魔法の天使クリィミーマミ(1983年)
・魔法の妖精ペルシャ(1984年)
・魔法のスターマジカルエミ(1985年)
日本で「魔法少女+バトルヒロイン」のスタイルが広まるのは「セーラームーン」が登場する1992年まで待たねばならない。
その前に特撮で1989年の「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」があったりしますが。
ただ、その「魔法少女」という名称が「ちゅうかなぱいぱい」より数年前にすでにつけられていたのも注目したい。(まあ、日本でのタイトルですけど)
こうして見るとレインボーブライトはほんの少し早すぎたのかもしれない。
セーラームーンと違ってレインボーブライトのフォロワーはなかなか生まれなかった。
「戦う魔法少女」がアメリカでより大きくブレイクするのは、やはり90年代になってから。
そう、まさにセーラームーンが現れた1992年とまったく同じ年にアメリカで登場したのが
アメリカの戦う魔法少女「Buffy the Vampire Slayer」
日本ではセーラームーン。
アメリカではバフィー。
いろいろ調べていくと、よくこういう「どこかの国だけが特別ではなく、同じようなムーブメントが同じ時期におこる。ただし発現のしかたが異なる」というのに遭遇します。
ここで日本とアメリカとで「戦う魔法少女」の系譜がちょっとズレるのですが、実はこのレインボーブライトの後継的作品こそが「セーラームーン」なのです。
レインボーブライト映画版で東映が関わったという話ではなく、(もしかしたらヒントになった可能性もなくはないけどちょっとそれは強引かも)、海外での魔法少女の話。
レインボーブライトのアニメ版は米仏日合作ということですが、このフランスの部分がHaim Saban氏とDIC Entertainment。
このレインボーブライトに続くマジカルヒロインアドベンチャーとしてDICが制作したのが
Lady Lovely Locks(1987)
ちょっとマジカルヒロインとはずれるけど、同年にDICはハローキティのアニメも制作
Hello Kitty's Furry Tale Theater(1987)
ちなみにこのハローキティの声はタラ・ストロング。
レインボーブライトもそうですが、「Lady Lovely Locks」も「ハローキティ」もいわゆるキャラクターグッズメーカーのキャラクターであるのがポイント。(「Lady Lovely Locks」はAmerican Greetings社のキャラ)
日本のように少女漫画を原作とした作品というのはとても少なく、少女向けアニメの深刻な原作不足こそが海外の長い課題であった。
(最近はかなり変わって来ましたけどね、特にヨーロッパは。)
ゆえに、この後が続かない。
サバン氏はレインボーブライトのようなマジカルバトルヒロインを長い事求めていたのだが、その原作となりうるものはなかなか出て来なかった。
そこで登場したのが・・・セーラームーン。
サバン氏はこれに飛びつき、自社でセーラームーンの海外版の制作を企画。
その顛末がこちら>実写セーラームーン海外版
結局、自社制作はボツりましたが、セーラームーンの海外版吹き替え制作はサバン&Dicが行うというところにこぎつけ、結果、世界的ヒットにまでもっていったわけなんですよ。
その後、ようやく戦う魔法少女の原作がヨーロッパからも生まれる。
さっそくサバン(SIP Animation)は「W.I.T.C.H.」をアニメ化。
DICも「サブリナ」のアニメ版(Sabrina: The Animated Series)、「トロールズ(Trollz) などを制作。
こうして海外でも魔法少女ものは次々と量産されることとなるのである。
サブリナはかつてディズニーチャンネルで、トロールズはニコロデオンで放送していたので、日本人でも知っている方は多いと思う。・・・・多いかなあ?
まあ、サブリナもトロールズも日常系なのでバトルヒロインでは無いんですが。
トロールズはちょっとだけアドベンチャー要素はあったかも。
ええと・・・レインボーブライトから大きくずれちゃったので、ふたたびレインボーブライトに戻します。
そんなマジカルバトルヒロイン系のレインボーブライトは2009年に大幅リニューアル。

今のレインボーブライト
プリキュア・・・・?!
マジカルステッキでレインボーブライトに’変身!
レインボーランドの危機を救うためダークプリンセスと戦う、マジカル美少女戦士レインボーブライト。
まあ、変身というより、「レインボーブライトに戻る」って感じみたいですけど。
かなり変わりましたが、元々「戦う魔法少女」だっただけに、これが現代の姿というのも、なんとなく納得できるような・・・もにょもにょするような・・・
レインボーブライト公式サイト

ところで、魔女っ子につきものの「謎の小動物」。
レインボーブライトでは彼らは「Sprite」とよばれる。
この、変な触覚と綿毛状(Fuzzy)のもふもふ生物

後のファジーである。
日本だとファジーはただのよくわからない変な生き物だったけど、元ネタ知ってるアメリカ人が見た時は「ちょwwww こ れ は 酷い」と出オチで爆笑するとこだったんですかねえ。
玩具というよりキャラクターという方がいいのかな。
近年になって次々と大幅リニューアルが続いていますが、今回はレインボーブライトを紹介する。
(と、簡単に紹介するつもりだったけど、ちょっと長いです)

「Rainbow Brite」
こちらはHallmark Cardsのキャラクター。
他の伝統的な女児向けキャラと違い1983年登場という比較的新しめなキャラで、なおかつその80年代生まれという時代性を強く反映していて、メルヘンチックながらも極めてSF的なのが特徴。
カラフルなアトミックベティとでもいうか。

Rainbow Brite & her friends
レインボーブライトと仲間達。
レインボーというだけあって髪の色を含めて色分けされたキャラクターたち。
ミステリアスな黒髪っ子や、メガネっ子も完備。青や緑や紫といった髪も別に日本だけのものではない。
登場に合せてTVアニメとしても放送開始。
■Rainbow Brite(1984)
TVシリーズ 全13話
アメリカ・フランス・日本の合作作品。
合作とはいえ、アニメの実制作は日本の「東京ムービー」。
監督はJean Chalopin、Andy Heyward、片山哲生
出崎統や杉野昭夫も参加している。
■Rainbow Brite And The Star Stealer(1985)」
レインボーブライト映画版。
こちらもアメリカ・フランス・日本の合作だが、こちらはワーナーブラザーズと東映アニメーションの合作となっている。
監督は矢吹公郎、Bernard Deyriès
設定は、遠い遠い虹の生まれる場所「レインボーランド」からきた魔法少女レインボーブライト。
そんな彼女が愛馬スターライトとともに、ベルトのマジカルパワーで闇の住人達と戦うお話。
設定そのものはマジカルファンタジー的だが、ビジュアルはとてもスペースオペラ。
SFっぽさは時代ですかねえ。80年代中期はスペースオペラ大流行的な背景があったのかもしれない。
ちょうど日本ではそのちょい前に出崎統が「スペースコブラ〔1982年)」を作っている。
その出崎統コブラの次に関わった作品こそ、このレインボーブライトなのだ。
もしかしたら海外の制作ペースを考えると同時期に作っていた可能性も。
このレインボーブライトは1990年に日本でも放送されたことがあったようで、
そのタイトルは「魔法少女レインボーブライト」
そう、魔法少女だったのです!
あ、一応ここは驚くとこなんですけど・・・
なにが驚くべきかといえば、このレインボーブライトはその当時、日本ではまだ「不思議少女の日常もの」だった「魔女っ子もの」全盛のころに、すでに「戦う魔法少女」のスタイルをとっていたことである。
・魔法の天使クリィミーマミ(1983年)
・魔法の妖精ペルシャ(1984年)
・魔法のスターマジカルエミ(1985年)
日本で「魔法少女+バトルヒロイン」のスタイルが広まるのは「セーラームーン」が登場する1992年まで待たねばならない。
その前に特撮で1989年の「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」があったりしますが。
ただ、その「魔法少女」という名称が「ちゅうかなぱいぱい」より数年前にすでにつけられていたのも注目したい。(まあ、日本でのタイトルですけど)
こうして見るとレインボーブライトはほんの少し早すぎたのかもしれない。
セーラームーンと違ってレインボーブライトのフォロワーはなかなか生まれなかった。
「戦う魔法少女」がアメリカでより大きくブレイクするのは、やはり90年代になってから。
そう、まさにセーラームーンが現れた1992年とまったく同じ年にアメリカで登場したのが
アメリカの戦う魔法少女「Buffy the Vampire Slayer」
日本ではセーラームーン。
アメリカではバフィー。
いろいろ調べていくと、よくこういう「どこかの国だけが特別ではなく、同じようなムーブメントが同じ時期におこる。ただし発現のしかたが異なる」というのに遭遇します。
ここで日本とアメリカとで「戦う魔法少女」の系譜がちょっとズレるのですが、実はこのレインボーブライトの後継的作品こそが「セーラームーン」なのです。
レインボーブライト映画版で東映が関わったという話ではなく、(もしかしたらヒントになった可能性もなくはないけどちょっとそれは強引かも)、海外での魔法少女の話。
レインボーブライトのアニメ版は米仏日合作ということですが、このフランスの部分がHaim Saban氏とDIC Entertainment。
このレインボーブライトに続くマジカルヒロインアドベンチャーとしてDICが制作したのが
Lady Lovely Locks(1987)
ちょっとマジカルヒロインとはずれるけど、同年にDICはハローキティのアニメも制作
Hello Kitty's Furry Tale Theater(1987)
ちなみにこのハローキティの声はタラ・ストロング。
レインボーブライトもそうですが、「Lady Lovely Locks」も「ハローキティ」もいわゆるキャラクターグッズメーカーのキャラクターであるのがポイント。(「Lady Lovely Locks」はAmerican Greetings社のキャラ)
日本のように少女漫画を原作とした作品というのはとても少なく、少女向けアニメの深刻な原作不足こそが海外の長い課題であった。
(最近はかなり変わって来ましたけどね、特にヨーロッパは。)
ゆえに、この後が続かない。
サバン氏はレインボーブライトのようなマジカルバトルヒロインを長い事求めていたのだが、その原作となりうるものはなかなか出て来なかった。
そこで登場したのが・・・セーラームーン。
サバン氏はこれに飛びつき、自社でセーラームーンの海外版の制作を企画。
その顛末がこちら>実写セーラームーン海外版
結局、自社制作はボツりましたが、セーラームーンの海外版吹き替え制作はサバン&Dicが行うというところにこぎつけ、結果、世界的ヒットにまでもっていったわけなんですよ。
その後、ようやく戦う魔法少女の原作がヨーロッパからも生まれる。
さっそくサバン(SIP Animation)は「W.I.T.C.H.」をアニメ化。
DICも「サブリナ」のアニメ版(Sabrina: The Animated Series)、「トロールズ(Trollz) などを制作。
こうして海外でも魔法少女ものは次々と量産されることとなるのである。
サブリナはかつてディズニーチャンネルで、トロールズはニコロデオンで放送していたので、日本人でも知っている方は多いと思う。・・・・多いかなあ?
まあ、サブリナもトロールズも日常系なのでバトルヒロインでは無いんですが。
トロールズはちょっとだけアドベンチャー要素はあったかも。
ええと・・・レインボーブライトから大きくずれちゃったので、ふたたびレインボーブライトに戻します。
そんなマジカルバトルヒロイン系のレインボーブライトは2009年に大幅リニューアル。

今のレインボーブライト
プリキュア・・・・?!
マジカルステッキでレインボーブライトに’変身!
レインボーランドの危機を救うためダークプリンセスと戦う、マジカル美少女戦士レインボーブライト。
まあ、変身というより、「レインボーブライトに戻る」って感じみたいですけど。
かなり変わりましたが、元々「戦う魔法少女」だっただけに、これが現代の姿というのも、なんとなく納得できるような・・・もにょもにょするような・・・
レインボーブライト公式サイト

ところで、魔女っ子につきものの「謎の小動物」。
レインボーブライトでは彼らは「Sprite」とよばれる。
この、変な触覚と綿毛状(Fuzzy)のもふもふ生物

後のファジーである。
日本だとファジーはただのよくわからない変な生き物だったけど、元ネタ知ってるアメリカ人が見た時は「ちょwwww こ れ は 酷い」と出オチで爆笑するとこだったんですかねえ。
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コメント
- ゆずのきB佳:
- ファジーの正体、知らなかった!変なキャラだとは思ってましたが、なるほど。
現地の人だけが笑えるギャグとかありますよね。
「魔法少女レインボーブライト」はまったく知らないです。見たこと無い。
今回も面白いレポートですね。
- くろみつ:
- 動画の三人が今年のプリキュアにしか見えなくなってきた…
これは昔の方が好みだなぁ
- massando:
- リニューアル版のアニメ、動きが何かに似てる・・・あ!「アンジェラ・アナコンダ」だ!!
>「Rainbow Brite And The Star Stealer(1985)」
当時の東映動画(古っ!)は「トランスフォーマー」に「G.I.ジョー」と玩具関連の合作作品が続いていたんですね。
最近の「ティンカー・ベル」とか何なのかなぁと思っていましたが、既にこの当時から集団ヒーロー(ヒロイン)ものは有色人種への配慮があったということが興味深いです。
- ビニールマン:
- やはり、ふつうの萌え美少女が戦う話って、アメリカじゃウケないんですかねぇ
ヒサコちゃんは原作じゃ萌えない毒舌家らしいし…
なお、Buffy the Vampire Slayerは、日本でも放映されてたそうです
バフィー 〜恋する十字架〜(CS版邦題)、吸血キラー 聖少女バフィー(地上波版邦題)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC_%E3%80%9C%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8D%81%E5%AD%97%E6%9E%B6%E3%80%9C
ヒロインバフィーを吹いたのは、水谷優子さんだそうです
(まる子の姉ボイスなのか、美星ボイスなのかは不明)
- surounin:
- このあたりは「ゴレンジャー」等の色つき戦隊モノの影響もあるのではないかと。日米問わずに。
- スカポン太:
- >ゆずのきさん
どもです。
「魔法少女レインボーブライト」は自分も調べるまで全然知りませんでした。
タートルズなんかがやっていた、NHKBSの海外アニメ枠あたりで流れていたみたいです。
>くろみつさん
アメリカのリニューアルのおもいきりぷりには驚きますわ。
>massandoさん
80年代は東映に限らず日本のスタジオが合作というか下請けやってたもの多いですねえ。
この時代は調べてみると、たしかにすでに人種的配慮ってやつが進んでますね。
タートルズとかケモノ戦隊ものが全盛だったせいで「人種」が目立たない感じなんですけど(笑)
>萌え美少女が戦う話って、アメリカじゃウケない
貴様っ!パワーパフガールズをディスる気かあ!!
バフィードラマ版は見てました。声の感じはよく覚えてないや
>surouninさん
その影響はあると思われます。
セーラームーンの前にサバンがてがけたのが、まさにパワーレンジャーですし。