高速移動表現とsmears

トランスフォーマーアニメイテッドのブラー
前回、高速移動表現についてちょっと考察してみたわけですが、あれからさらに検証していった結果、ちょっと違う考えに至りました。
こういう高速移動における光の板のような表現は、あまり日本だアメリカだとか関係なく、「最近アメリカで流行り始めた表現」程度かと。
サンプルとしてまずは、カートゥーンのスピードスターといえばこのお方

ロードランナー
高速性を表す表現としては、走ったあとに流れる土煙と流線化した足の動きかな。


さらに高速になると全体が流線化。
また動画であっても「流線」をアニメに使う事は別に日本に限らず珍しいことではない。
むしろ昔からのあたりまえの手法。
ですよねー。

キム・ポッシブルのビービーロボット
「残像」

ジャスティスリーグのフラッシュ
「残像」


X-MENエボシューションのクイックシルバー
「残像」及び「流線」や「ブレ」



ジャッキーチェンアドベンチャーの最速のタリスマン
ここでは「残像」はあまり使われず、「流線化」、「流線の書き込み」「線による輪郭のブレ」などで表現されている。
と、まあ、「光板的な軌跡」は映画トロンが登場してからすぐに普及したわけではないし、このころの作品ではみつけられなかった。
つまり、最近になってよく使われはじめたものだと推測される。
パワパフの光跡が出現としては古い部類になるだろうけど、ちょっと違うかな。
自分が思うに、これが使われ始めたきっかけはティーンタイタンズではないかと。

具体的にはキッドフラッシュのこの表現から。
ティーンタイタンズは日本風のエフェクトなどもごった煮的に取り入れられていて、その結果、表現実験としてここでかなりのノウハウや新しい表現が数多く生まれたと思っている。もっと評価されるべき!
自分が初めてこれを観た時はこの表現に感動したものだ。
きっとそれは向こうのアニメーターも同じだったんではないかと思いたい。ここから始まったのだと。
ジャスティスリーグのフラッシュではまだ使われていなかったこの表現。
その後のBEN10のXLR8や、TFAのブラーなどにも取り入れられ、ブレイブ&ボールドのフラッシュでも同様の表現が見られる。
高速表現として面白いビジュアルってのもあるんだろうけど、残像や流線よりもこういう光跡的なものは「特殊能力が発現している」という感じがするのもいいんだろう。
体が光に包まれてぶわーーっと加速する表現に近いけれど、それよりもシャープで直線的。
なかなか面白いですね。しばらくは好んで使われるんじゃないでしょうか。
>高速移動する物体を、伸張、変形、分裂等で描く表現を、アニメーション用語で“オバケ”などと称します。
カートゥーンにおいては“smears”と呼ぶそうです。
物好きな方が様々なバリエーションを蒐集しています。
記事の趣旨とズレますが、参考までに。
Smears, Multiples and Other Animation Gimmicks
ひゃああ、おもしろい。
なるほど、こういうのは「smears」って呼ばれるのか。


キム・ポッシブルからルーファスの演武
例えばこういうのもその「smears」ですよね。
分裂して描かれる手、加速によって変形する物体。


これなども。
ギャグマンガチックなカートゥーンでは大きな変形で大胆な「smears」が出現するけれども、それよりはリアル系に近いキム・ポッシブルでも意外に多様されている。
ヒトコマでとればおかしな世界だが、これが動きの中にあると、すばらしく映えるのだ。
キム・ポッシブルの動きのダイナミズムはこのへんからきていると思う。
日本のアニメでも「オバケ」という名称があるように、探せばいくつかあるんでしょうけど、すいません自分の手元にはとりあえずこれくらい・・・

ちぎれているパンティの手

過剰な変形

やはりちぎれているストッキングの刀
うーん・・・・パンストはちょっと特殊かしら?
なんにしても「高速表現」を表す手法を分類すると
「線」流線を描く 密度や長さで速度変化など表現
「残像」手が分裂したりなど、複数描く
「ブレ」ボケさせる。線で描く場合は輪郭が歪む
「変形」残像がそのまま繋がった状態といえるかも
「光跡」は残像と線の合わせ技みたいなものかな。残像が全部繋がって一枚の板のようになった「面の線」。
「消える」を入れてもいいかもしれない。描かないことによって目でおえない速さを表す。
パンストのちぎれた表現は、その箇所が見えなくなったことで、スピードの誇張となっている。
というところで、最後にフィニアスとファーブの「走れキャンディス」


「残像」が強調されるパーツのみ描かれ、より「smears」的。
そしてキッドフラッシュほどではないけど、連続する色の光の帯。


さらに高速になると全体が流線化。
また動画であっても「流線」をアニメに使う事は別に日本に限らず珍しいことではない。
むしろ昔からのあたりまえの手法。
ですよねー。

キム・ポッシブルのビービーロボット
「残像」

ジャスティスリーグのフラッシュ
「残像」


X-MENエボシューションのクイックシルバー
「残像」及び「流線」や「ブレ」



ジャッキーチェンアドベンチャーの最速のタリスマン
ここでは「残像」はあまり使われず、「流線化」、「流線の書き込み」「線による輪郭のブレ」などで表現されている。
と、まあ、「光板的な軌跡」は映画トロンが登場してからすぐに普及したわけではないし、このころの作品ではみつけられなかった。
つまり、最近になってよく使われはじめたものだと推測される。
パワパフの光跡が出現としては古い部類になるだろうけど、ちょっと違うかな。
自分が思うに、これが使われ始めたきっかけはティーンタイタンズではないかと。

具体的にはキッドフラッシュのこの表現から。
ティーンタイタンズは日本風のエフェクトなどもごった煮的に取り入れられていて、その結果、表現実験としてここでかなりのノウハウや新しい表現が数多く生まれたと思っている。もっと評価されるべき!
自分が初めてこれを観た時はこの表現に感動したものだ。
きっとそれは向こうのアニメーターも同じだったんではないかと思いたい。ここから始まったのだと。
ジャスティスリーグのフラッシュではまだ使われていなかったこの表現。
その後のBEN10のXLR8や、TFAのブラーなどにも取り入れられ、ブレイブ&ボールドのフラッシュでも同様の表現が見られる。
高速表現として面白いビジュアルってのもあるんだろうけど、残像や流線よりもこういう光跡的なものは「特殊能力が発現している」という感じがするのもいいんだろう。
体が光に包まれてぶわーーっと加速する表現に近いけれど、それよりもシャープで直線的。
なかなか面白いですね。しばらくは好んで使われるんじゃないでしょうか。
>高速移動する物体を、伸張、変形、分裂等で描く表現を、アニメーション用語で“オバケ”などと称します。
カートゥーンにおいては“smears”と呼ぶそうです。
物好きな方が様々なバリエーションを蒐集しています。
記事の趣旨とズレますが、参考までに。
Smears, Multiples and Other Animation Gimmicks
ひゃああ、おもしろい。
なるほど、こういうのは「smears」って呼ばれるのか。


キム・ポッシブルからルーファスの演武
例えばこういうのもその「smears」ですよね。
分裂して描かれる手、加速によって変形する物体。


これなども。
ギャグマンガチックなカートゥーンでは大きな変形で大胆な「smears」が出現するけれども、それよりはリアル系に近いキム・ポッシブルでも意外に多様されている。
ヒトコマでとればおかしな世界だが、これが動きの中にあると、すばらしく映えるのだ。
キム・ポッシブルの動きのダイナミズムはこのへんからきていると思う。
日本のアニメでも「オバケ」という名称があるように、探せばいくつかあるんでしょうけど、すいません自分の手元にはとりあえずこれくらい・・・

ちぎれているパンティの手

過剰な変形

やはりちぎれているストッキングの刀
うーん・・・・パンストはちょっと特殊かしら?
なんにしても「高速表現」を表す手法を分類すると
「線」流線を描く 密度や長さで速度変化など表現
「残像」手が分裂したりなど、複数描く
「ブレ」ボケさせる。線で描く場合は輪郭が歪む
「変形」残像がそのまま繋がった状態といえるかも
「光跡」は残像と線の合わせ技みたいなものかな。残像が全部繋がって一枚の板のようになった「面の線」。
「消える」を入れてもいいかもしれない。描かないことによって目でおえない速さを表す。
パンストのちぎれた表現は、その箇所が見えなくなったことで、スピードの誇張となっている。
というところで、最後にフィニアスとファーブの「走れキャンディス」


「残像」が強調されるパーツのみ描かれ、より「smears」的。
そしてキッドフラッシュほどではないけど、連続する色の光の帯。
この記事のトラックバックURL
http://ppgcom.blog12.fc2.com/tb.php/4764-9eb6f814
コメント
- NR:
- 前回はありがとうございます カートゥーン風ギャグマンガを描くに当って
見ておいた方が良い作品はなんですか?
- massando:
- 光跡で思い出したのが何かとアニメに縁のある「サナドゥ」のミューズたちの描写ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=EYWA2c5w5bw
この動画の3:17秒あたりから。
もっともこれは発光によるものなので高速移動の表現と言えませんが。ちなみに「ザナドゥ」は「トロン」の2年前の1980年の作品です。
ティーンタイタンズは日本からエフェクト以外に人物の心理描写の表現も上手に取り入れていましたね。最終話の「Things Change」での演出は自分にとって実に衝撃的で忘れられません。
- アヤコ:
- おおおっ、面白いwww しかも分かりやすい!!
スクリーンショットですか?種類集めるのもそうですが、撮りどころを選ぶの大変だったのでは(´・ω・`)
表現の違いって普段興味はあるけど、比較してみないと違いがよく分かってなかったりするんですよね。スッキリ納得な記事をありがとうございます^^
- 三郎:
- 流線とかだと、特殊能力っぽいですよね;
逆に残像だと普通(?)っぽい?
G1ブラーは特殊能力でも何でもないですからね;
(それが凄いんですが)
うざい?それが彼の良いところです。
- 御霊神:
- パンストはある意味、こういう表現やオバケが似合う作品なような気がしますねw
- ずき:
- 今回の高速表現読んでて自分はAKIRAのバイクのテールランプの残像表現を思い出しました http://www.youtube.com/watch?v=ixAHUWgBKsw 関係はあまりないかもしれませんが参考にでも
- スカポン太:
- >NRさん
カートゥーンといってもいろんなタイプがあるからなあ。
お好きなようにー
ただ、近代カートゥーンのギャクに大きな影響を与えた作品としては「シンプソンズ」と「レンとスティンピー」だと思います。あと、「パワーパフガールズ」かな
>massandoさん
おお、これは。
探せば「こういう演出」というのはいろいろ出てきそうですね。
多分、新しかったのは「そのキャラの固有の高速表現」というあたりだったのかも。
>アヤコさん
どうも。
高速キャラそのものはみつかるんですが、「高速化すると画面のフレームから消えてどんでいっちゃう」ってのが意外にに多くて、ちょうどいいのを見つけるのは手間かかったかも。
>三郎さん
G1TFは・・・ そもそもあまり凄い特殊効果ってものがないようなw
>御霊神さん
ですねー。
>ずきさん
意外にこのへんに影響うけた世代が作り手になってきたから・・・・というのもあったりして。
- フィルモア:
- 残像と言えばジョニーブラボーのジョニーが女性の前でかっこつける時にやる
「ハッハッハッ!」って動きもsmearsっぽかったですね。
- りおこ:
- こんばんは
夜分遅く失礼します。
確かに板状の光跡は特殊能力っぽい感じがしてかっこいいなと思います。『ソニックX』では短距離の高速移動の場面で太めの光跡が使われていた一方、長距離の場面では土煙をあげることがあり、私はカートゥーンの影響があったのかと考えたくなりました。
smearの例はマブカプ3のシーハルクのクリミナルランドリーという超必を思い出させますね。
では
- スカポン太:
- >フィルモアさん
ああ、ジョニーブラボーはかなり多様してますね。しかもかなりわかりやすく。
来年から再放送はじまるから、そのへん注目してみると面白いかも。
>りおこさん
ふむ、ソニックX。
そういえばソニックもスピードキャラでしたね。
- ☆:
- 「光板的な軌跡」はスーパーマンの軌跡を青と赤の光線の残像として使われるのはかなりむかしからコミックスで使われてきた演出ですね、
90年代後半~00年に入ってデジタル彩色の技術が向上してからは表現の幅が広がり、「光板的な軌跡」は動きのないアメコミの視覚表現として大変重宝されてほとんどのコミックスで高速移動表現に「面の線」+残像での演出が使われるようになってましたが、動いているアニメであえて、コミック的な「光板的な軌跡」をつかった、ティーンタイタンズは凄いと思いますよ。
個人的には平成版「009」の演出が好きですが。
http://www.youtube.com/watch?v=IJ_ei0t-_2o&feature=related
- スカポン太:
- >☆さん
なるほど!!
コミックスからですか。表現手法というのはこうやって新しくなってゆくものかと、感動しました。
009といえば、来年には劇場版も作られますが、ただ「3Dにしてみました」ではなく、新しい表現手法を見てみたいものです。どうなるんかなあ
- 武侠忍者:世代人としては
- 日本のアニメで最初に高速移動の演出に挑戦したのはおそらくエイトマンではないでしょうか? 後にアニメ版聖闘士星矢とゆう後継者を産み出した(後期の腕を後ろに反らし、前屈姿勢で走るポーズ、本当にエイトマンが元ネタだそうです)、エイトマン走りや、田中課長のデスクの書類が飛び散る演出、本編でも加速剤を悪用する犯罪者の話が存在します。 白黒版009は当時では作画が難しかったのか、加速装置の描写はオープニングのストロボ(?)ぐらいだったはずです。 あ、あと、逆にスローモーションで処理した、600万ドルの男とかバイオニックジェミーとかもありましたね。
- スカポン太:
- ああ、エイトマン。確かにそうですね。
なんにしてもただ速いではなくSF的な「特別に凄く速い」というものの演出で進歩をとげていった気がしますね。