fc2ブログ

北米amazon 電子書籍MANGAの状況

「How to Be a Supervillain」の件でちょっと気になったんですが、電子書籍市場は今までの書店売りのものとはけっこう傾向が違うみたいですね。
一般書籍の方はちょっとわからないので、amazon Kindle Storeでのコミックス・マンガ方面をながめてみました。
DCはコミックブック(リーフ)は独自配信(comiXologyとか)してて、amazonにはTP・グラフィックノベルのみになるんですが、こっちは紙の本と傾向はそんなにかわらない感じ。
大きく違うのが電子書籍のMANGA。
Kindle Store「Manga」Top100
まるで違う。まず何と言っても日本のマンガがありません。※例外あり
OEL-manga いわゆるアメリカ産MANGAが圧倒的。こんな状況初めて見た。

傾向をまとめると
・アメリカ産MANGAがほとんどで日本のマンガが無い
・Yaoi BLが大人気
・低価格(印刷物だと10ドルだが、電子書籍版では2~3ドル)

ちょっと例外にあたるのがYaoi(BL)もので、ここには日本の翻訳ものが混じることが多く、かつ高くても売れているものもある。

日本のマンガが無いのは単純に、電子書籍版(Kindle版)を出してないからと思われます。
逆に、これらのOEL-mangaはむしろ電子書籍版のみというものも多い。
まだまだ普及が始まったばかりの電子書籍市場でかつKindle版への参入業者が少ないからこそ、こういう状況が生まれたのだとは思いますが、ここまでOEL-Mangaが強い状況は初めて見ましたね。
一応 iTunes BooksのMangaを見てみたけど、やっぱり同じような状況ぽいです。
(ITunesではもしかしてBLは扱ってない?)

amazonus_emangatop1.jpg
現在1位は「PANDORA: End of Days
自分が気になったのはこちら。
amazonus_emangatop6.jpg
Amazing Agent Luna($3.99)出版社Seven Seas Entertainmen

これの作者の「Shiei」さんの本は、この本以外にもランクインしており、前から人気ある作家だったので知っていました。この本も元々は数年前に印刷物として出版されていたんですが、どうやら完全に印刷出版から撤退し電子書籍へ移行したようだ。
Amazing Agent Lunaの公式サイト

aoiinlove_vol1_full.jpg
自分としては「Aoi House」の人というイメージだったんですが、あれからいろいろ描いてたんだ。
これもそれなりに人気あったはず。


「Amazing Agent Luna」からのスピンオフ「Amazing Agent Jennifer」というのがあるんですが、

AmazingAgentJennife.jpgAmazingAgentJennife2.jpg
これ、普通に上手いですね。
こちらの作者はKriss Sison。フィリピン出身の漫画家

完全電子書籍移行によって業績があがったかは判断できませんが、上記「Amazing Agent Luna」はKindle Storeだけでなく、書籍全般の「Manga」で90位に入っており、以前と比べたらはるかにランクアップしているはず。(前はランキングで見かけた事すら無かった)
OEL-Mangaはそもそも手に取ってもらえないということが多かっただけに、一応は成功しつつあるということかしら。
印刷物だと10ドルするけど、電子書籍ならその半分以下で買えるというのもやはり大きいんだろう。
中には1ドルや無料のものも多く存在する。

日本の翻訳MANGAが本格参入した時に状況がどう変わるか気になりますが、そもそも参入するのかしら?

ちなみにSeven Seas Entertainmentの作品の多くはwebコミックとしてオンライン公開されており、ネット上で無料で見れる。それでも「本」として売れるもんなんですねえ。
オンラインMANGA配信サイト
Zoom Comics
Pixie Trix Comix


追記)しばらくしてまたチェックしてみたら1.49ドルの低価格Yaoi(BL)本「Maelstrom」が1位になってた。
他をざっとみても、やはり電子書籍MANGA市場では圧倒的に強いYaoi(BL)。
このへん、日本のケータイマンガ市場とも似てるのかしら。
関連記事

この記事のトラックバックURL

http://ppgcom.blog12.fc2.com/tb.php/4927-51ef65f2

コメント

真空管:
コミックに限らずKindle書籍はiPadやSonyReaderより安い傾向がある気がします
「スティーブジョブス」は他が16$だったのにkindleは9$だったり
パブリックドメインは0$ですし
コンテンツで稼ぐよりもKindleで読むって習慣をつけてタブレットを売る戦略なのでしょうか

描き手にしても
単価が安くても多く手に取ってもらって認知された方が
長期的に収入になりそうだしレスポンスが返ってきそうですね
大手出版社がモタモタしてる間にManga市場が塗り替えられるなんてことがないように
日本からも個人作家が発表すべきかも知れません
VicIsono:
>ネット上で無料で見れる。それでも「本」として売れるもんなんですねえ。

UDON Entertainmentは、新作マンガThe Makeshift Miracleの無料ウェブ連載を後日TPB化するとアナウンスしていて、それだけならめずらしくもないんですが、作品の認知度を高める為に公式でBitTorrentにPDFファイルとCBR ファイルを公開、更に「じゃんじゃんコピーして拡散してくれ」って言ってるんですよ。
http://www.udonentertainment.com/MakeshiftMiracle/

PDFだけでなくCBR も撒くのは、漫画ファンの大半が違法スキャンレーションでCBRを扱いなれてるからだと…最早そういう時代のようです…
スカポン太
>真空管さん
むしろタブレットを売るというより「Kindleで読むって習慣」の方が狙いかもしれませんね。
ビデオプレイヤーの規格争いみたいなもんで、今年は電子書籍市場が熱い戦いの場所になるのだろうか。

>VicIsonoさん
えーーーー、その発言はすごいな・・・
そういう時代なんだ。
VicIsono:
これです
Download the torrent file, pass it around, re-seed as much as possible and convince your online friends to try it out, absolutely free.
http://www.udonentertainment.com/MakeshiftMiracle/torrent

Slave Labor GraphicsのDL販売のファイル形式にCBZが含まれてるのも
マンガの違法ファイル分配がCBZやCBRで提供されているからだと。
違法分配相手に散々苦労させられた立場としては心底ムカツクけど
現実を考えたらしょうがない…と社長さんがインタビューで答えてました。
http://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/book-news/comics/article/48779-slave-labor-graphics-publishing-goes-digital-first.html
スカポン太
ほんまに言ってたw

できあがっちゃった文化には敵対するより利用するほうがメリットあるということですかね。
大手はまだしも、SLGあたりは近いとこにあるからなあ。企業体力としても対抗処置は疲弊するだけみたいな。
柴岡さん:横長面白い
横長画面面白いですね。
実際3段組4段組でページを組むわけだから、横長を段として捉えれば
小さなキンドル画面をうまく使えるかも?と思いました。
(逆に段ぶちぬきはできないですが)
iPhoneみたいな画面ではさらに使えるかもしれませんね。
スカポン太
電子書籍専用で出でいるから、こういうフォーマットが出てきたんでしょうね。
今は紙の本のスタイルから流用なものが多いけど、電子書籍が普及してくるといろいろ描き方も見せ方がかわってくるかも。
VicIsono:
>yaoi
ちなみに日本のオタ用語における「やおい」は「ホモネタの二次創作」の事ですが
英語の「yaoi」は「エロのきついボーイズラブ」を指します。

電子書籍で問題なのは「決済がクレジットカード」つまり
「クレカを自由に使えない未成年者は一々親の了解を取りつけないと購入できない」
という事。だから自然、成年向けのエロものが売り上げ上位にくる事になる。

ボーダーズがアレして一般書店のmangaコーナーで購入と言うルートが大幅縮小されたのは
向こうの書店事情を知らない日本人が想像するより相当厳しいようです。

manga電子書籍といえば、Digital Manga, Inc. は翻訳BLの電子配信主体のインディーなのですが
http://www.digitalmanga.com/
BLで手堅く会社をまわしつつ、最近は手塚治虫の青年誌タイトルの限定ハードカバー本をソーシャル資金調達サイト kickstarterを通じて出版するという、なかなか賢い生き残り戦略をとっています。
「ばるぼら」の予約者募集ページ
http://www.kickstarter.com/projects/digitalmanga/publish-osamu-tezukas-barbara-in-english
厳しい経済状況でもこういうチャレンジをしてる会社は応援していきたいですね。
スカポン太
ついわすれちゃうけど、クレジットカードの問題がありましたね。
amazonギフト券・・・もiTunesプリペイドカードみたいに買えるものじゃないしなあ。
そう考えると、特に若い読者の多いMANGAジャンルはかなり狭い範囲の購買層になりそうですね。

書店での流通が減ったのはかなり大きいか。

ダイレクトマーケットセールスのコミックブックの方が、閉鎖的になるデメリットはあっても、逆に不況には強そう。

コメントする

管理者にだけ表示を許可する

Template Designed by DW99