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有害コミック撲滅!

>「有害コミック撲滅!――アメリカを変えた50年代「悪書」狩り
デヴィッド・ハジュー (著), 小野 耕世 (翻訳), 中山 ゆかり (翻訳)
岩波書店 (2012/5/25)
価格:¥ 5,040
「暴力・流血・性的シーンが少年非行を助長するという世論によって、アメリカから「有害コミック」が一掃され、800人以上の原作者や作画家が追放された。本書は、1950年代前半に起こった事件を丹念に調べ、当時の関係者に取材して詳細を明らかにした労作。日本の悪書追放運動との関連を考察する「訳者あとがき」を付す。」

という、アメリカでのコミックスパッシングを扱った本の邦訳が出るそうですよ。
これは面白そう!・・・なんだけど、えらい高いな!!
400p以上もあって読み応えはありそうなんだけど・・・


このあたり、これによりアメコミは衰退し表現の幅が狭まったと言われていますが、そのあたりは実情がハッキリしないで様々な論説があったりしてるんですよね。
これでアメコミを規制検閲するコミックスコードが作られるわけですが、コミックスコードが悪なのではなく、コミックスコードはパッシングから業界を守るための自主規制。それを通さなくとも出版は可能だった、とか。
しかし、コミックスコードの認可をうけないと実質的に店に置いてもらえないから同じ事、とか。
映画でも規制検閲するヘイズ・コードがあったが、それで映画は衰退しなかった。アメコミ衰退の理由にはならない、とか。
とは言っても大資本の映画業界と、(日本と違って)コミックス専門の小規模出版社とでは企業体力が違いすぎ、映画はほとぼりがさめるまで別なものを作れるが、アメコミ出版社はそれにより潰れた、とか。
むしろ、パッシングがゆるやかになる時期にはコミックスはコミックブックショップを中心とした「マニア向け専門店売り」に移行していたため、一部のマニアが読むものと化し、一般層と乖離し「衰退しかかに見えただけ」で、別に衰退してはいなかった、とか。
しかし、出版社自体の数が減ったため、ジャンルの幅が狭まり、それは実質的に業界の衰退、とか。
とか、色々人によって視点が変われば論説がいろいろあるんですよ。

アメコミ出版社って、日本のような「書籍出版企業」という言うより「プロダクション」とか「スタジオ」って言う方が近い感じがするんだよねえ。

「アメコミは勧善懲悪な能天気なヒーローものしかない」という思い込みは日本人だけでなく、多くのアメリカ人もそう思っていたりします。
映画のウォッチメンを見て、その原作が何十年も前の作品であるにも関わらずアメリカ人ですら「コミックにもこんなものがあったのか!」と“今頃”言ったりもする。

そこまでのアメコミ通史の本ではないと思いますが、50年代に何があったのかを詳しく知るには面白い本かもしれない。
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コメント

S21:
このあたりのエログロ全開アメコミはちょろっと見ただけですが、凄かったらしいですね。
レッドパージ的社会風潮にも言及されているかも。
でも高くて厚そうなので、スカポン太さん、レビューお願いします(笑)。
スカポン太
値段が~~値段が~~~ww
2000円くらいなら、即買いなんですが。
武侠忍者:昔、聞いた話では確か、こうでした
 事の始まりはフレデリック・ワーサム(ちょっとうろ覚え)とかゆう心理学者のおっさん、こいつが、漫画が犯罪を助長するとか何とかいったら(後年、私が問題にしたのは、犯罪を扱ったコミックだと、弁明だか言い訳だかしていたそうですが)、赤狩りブームの風潮に見ン事乗っかり、亜米利加の漫画文化は壊滅一歩手前まで追い詰められましたが、皮肉なことにコミックスコード制定の年から少年犯罪の発生件数は順調に伸びていったそうです。 詳しい人に言わせると、「世相が荒れてきたから、サブカルチャー関係も荒れてきたのであって、結果その1を締め上げても、結果その2が減るかい!!とのこと。 その後、TVも締め上げましたが、どうにもなりませんでした、とゆうことです。 
 どうしましょうかねえ、慎太郎都知事閣下?
スカポン太
コミック界の極悪人ワーサム先生!
いつの時代でもこういう人はいるもので、どっちかといえば、それに賛同した世論やマスコミの方が問題だった気もしますね。時代の雰囲気ってやつかあ
マイナージャンルなら誰も問題にしなかったと思われるので、当時のコミックの人気がどれほど凄かったかとも読み取れそうです。

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