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マイリトルポニートモダチは魔法 #14「ラリティのドレス」

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裁縫おばさん回。
「お嬢様って聞いてたのに話がちがうじゃないですかー!」
という、中の人の声がそろそろ聞こえてきそうな。
でも、この回を通過したせいか、日本語版ラリティの声ぐっとよくなってきたかなあ。

そんなわけで、ラリティ回にして、子供や学生でなく、社会人の方がハートにグッとくるだろうと思われる回。
というか、特にクリエイター系の人にとっては胃が痛くなるような話。ぐわー。

#14 ラリティのドレス(Suited for Success)
ラリティは、みんなのパーティドレスを自分が作ると申し出るが、それぞれの希望を全部取り入れようとして、収拾がつかなくなってしまう。(公式説明より)
 

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と、その前に。
この回からOPが「七森中ごらく部」に変更。曲自体は明るくてけっこういい感じ。
前の「ミライスタート」がキャッチーだっただけに、まだ頭に残ってるけど、そのうち慣れるかな。
しかし、13話で変更ってけっこうサイクル早いなあ。このペースだと年4回変わるんだろうか。
別にいいけど、EDの唐揚げがそのままってのはなんか納得いかない。セットで変わると思ってたのに・・・

「さあ いち に さん しー ごー ろく」
この時はこのシーンが重要になってくるとは、まだ思いもしなかったのでありました。しかしそれはまた別の話。

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本編にもどって、ラリティ!


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トワイライトのだっさいドレスに我慢できなくなったラリティさんが、その流れでトモダチみんなのドレスをつくることとなるわけです。
うん。このドレスはないわー。
トワイのドレスって、きっと小学校とかから着てた一張羅なんでしょうな。ないわー。
トワイらしいといえるけど、トワイがそれをまったくピンときていないというのが重要なポイントです。


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「ひらめいたぁ〜〜〜〜〜!」
原語だと「アイディ〜〜ア」で意味としてはほぼ同じ。
何が言いたいかと言うと、日本語版でもリップシンクしてるかのようなピッタリな合わせで感心したという話。
ちょっとしたことだけど、吹き替えでもこうやって初めからそうであったかのようにピッタリ合うと見てて気持ちがよく、嬉しい。

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そして神曲!!!
日本語吹き替えじゃなかったのは残念だけど、これまた原曲が神。
原語ラリティさんの歌はほんとうまいわあ。
そしてリップシンクにこだわる海外アニメなだけに、ビブラートきかせている箇所などちゃんと唇がふるえているんですよ。
は〜〜〜最高。

そしてこれが、ミュージックビデオ的なもとの、ミュージカルの違いでもあるんですよね。
背景でBGM的に流れてそれに合せて映像が動くだけではない。
役者が『歌をうたう』。それがミュージカル。
ゆえに、リップシンクが重要であり、口パクであってはいけないのですよ。歌とは唇の演技。

だから、映像に合せた歌の吹き替えというのは非常に難しいのです。
歌唱力だけの話では無い。
翻訳家が映像の唇の動きに合せた翻訳歌詞をつくらなければいけないからだ。
意味の正しさだけを求める通常の翻訳とは、格段にレベルが違う。

そんなラリティさんが徹夜して作ったドレスは意外にも不評。
そこで要望を聞いて作り直す事に・・・・

泣ける。そして胃が痛い!!
社会人の人なら似たような経験をした人も多いと思う。

これは、クライアントのテキトーな意見に振り回されたあげくに、グダグダなものが出来て、それがそのクリエイターの作品として不本意に世に出てしまうという悲劇。
あ、ああっ胃が痛いっ!

ここで、やっかいなクライアントのパターンをあげてみよう。


■クライアントが半可通なケース
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「オートクチュール(オーダーメイド)というよりプレタポルテ(既製品)ね」
おそらくこの中では一番ファッションセンスはありそうなフラッターシャイ。
ファッションにもそれなりに知ってて、こだわりを披露する。

けっこうこれがやっかいなケースでして。
中途半端に知識があるクライアントはめんどくさいです。
しかし、プロではないので現場は知らないし、また、現場の最新情報やトレンドにはうとい。
クライアントに専門知識がある場合、理解してくれてスムーズにいくようにも思われがちですが、(うまくまわるケースも多い)、実際は非常にめんどくさいケースが多いのです。
このケースは体験した人でないとちょっとわかりにくいかも。

あ、ほら、批評家が実際に作品を作った時にしょぼい出来になったりする例とか、あるでしょ。ああいう感じ。

■クライアントに妙なこだわりがあるケース
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「オリオン座は星が3つじゃなく4つ」
どうでもいいことにこだわって、結果グダグダになるケース。

このケースで一番の問題は『完成させるべき作品が何であるか』をわかていないでこだわりを出したケース。

例をあげるなら、
広告の場合:細かい所にこだわり過ぎて広告として目立たないものになった とか
マンガの場合:考証にこだわりすぎてマンガとして面白く無いものになった とか
ゲームの場合:システムにこだわりすぎてプレイが退屈で苦痛になるようなゲームになった とか

ここではファッション。
図鑑ならいいけど、トワイがそれをファッションとして考えていないところが問題だったと。

ただ、このタイプのクライアントはうまくコントロールできれば良い作品ができる場合も多いので、そんなに嫌いではないかな。


■クライアントが思いつきでものを言うケース
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「ペロペロキャンディを飾った方があたしらしくない?」
やっかいです。めんどくさいです。カンベンしてください。特に時間が無いときは死にます。
プロは全体を考えて構成します。
しかし、「これも入れてください」「こういうのがあったほうがいいと思う」などと、その場その場の思いつきの要望を入れてきて、結果、まとまりのないガチャガチャしたものになるケースが非常に多い。

ファッションにしてもデザインにしても料理にしても、好きな物をぶちこめばいいものができるわけではない。
コーディネイトされた調和が重要。時にはそのために大きく削ることもある。
ただ、この場合、うまくモチーフをとりこめたらうまく行く場合もあります。しかし、なかなかそうならないのが現実。


■クライアントが目的をまったくわかっていないケース
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「雨がふったら・・・長靴」
屋内で着るドレスで長靴。
根本的にドレスがなんであるかまったくわかっていない例。
トワイライトやピンキーのケースと似ているけど、着地点がズレているだけに、もっとやっかい。
トワイやピンキーのように「要素」の問題ならまだがんばれば修正可能だけど(時間があればね・・でもたいてい現場はいつだって時間無いんだけど)、これは最終イメージが根本的にズレているだけに、非常に困りもの。

これは例を出すのは難しいけど、そうだな・・・
例えば、webデザインなのに本の誌面デザインを求めちゃうようなものでしょうか。


■クライアントの要望が抽象的なケース
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「それでいいけど・・・もっとカッコよく。ええとあと20%くらい」
最悪のケース。
自分の経験上、これが最悪のクライアント。
方向性も、目的も、ビジョンも何も無く「かっこよく」「かわいく」「斬新な」など抽象的なオーダーされるケース。
具体的なビジョンが何も無いので、ある程度完成させないとクライアントは判断できない。
つまり、具体性が出るまで何度も何度も作り続けるはめに。
多くのクリエイターはこのために、徹夜し、何度も何度も作り直し、そしてその度によくわからないダメ出しをされ、何をどうしていいのかさっぱりわからなくなり、頭をかかえるだけでなく、無駄に働き続けるという悪夢。

抽象的でも、到達地点のビジョンがあり、「ただそこまでの具体的な形が見えないから考えてくれ」というケースはつらい道だがやりがいはあります。
しかし、この手の何のビジョンもなく漠然としたものは、間違いなくグダグダなものになります。

「斬新なもの」と言っておきながら、結局無難なものになったり。

「おなかすいたー なんか食べたい」「じゃあカレーはどうかな」「えーカレーって気分じゃない」
なんてのに似てるけど、そんなのはまだ甘々。
クリエイター殺しの最悪なクライアント。あーーーほんと胃が痛い。


ちなみにレインボーダッシュが言った「あと20%くらいカッコよく」てのが、
「20% Cooler」
ですね。

Coolは元々冷たいという意味ですが、「カッコいい」という意味に俗語変化して使われるようになった。
しかし、その比較級として「よりカッコいい」という意味でCoolerなんて使い方しないので、この造語が脳筋らしいレインボーダッシュの言葉として大ウケしたんでしょうなあ。
本編ではそうそう出て来ないセリフだけど、よほどインパクトあったのか、二次ではレインボーダッシュの定番のセリフとなりました。

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そして完成したのがこちら!見事なまでのグダグダ!!!ww
フラタあんだけファッション詳しそうだったのに、それか!
しょせんこれが素人・・・

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「だってばさ」
ホイティトイティ(CV 飛田展男)
(ゲスト声優はやっぱり豪華やなあ・・・)
そんなわけで、そんな素人臭いデザインをラリティの作品として評価され、くそみそにけなされる。
この悲劇はクリエイター系の人には痛いほどわかることであろう。あー胃が痛い。


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DJ-PON3(もしくはヴァイナル スクラッチ)もここで初登場。
これだけの出演なのに、大人気モブポニーの一人になるわけだからわからんもんですなあ。
(DJ-PON3というのは、DJ-PONYの最後のYをDJ名によくある3に置き換えての命名・・・だと思う
と思ったけど、こういうことかも>DJ-Pon3とLeet語


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それでも、やり直しのチャンスができて、最終的には大団円になって、よかったよかった。
ここでのPV風のファッションショーシーンもすごくよかったねえ。


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「ごろごろしていたいのーーーー」
それよりも、この落ち込みラリティがかわいくてかわいくて。

ラリティいいキャラだよなあ。
もう、美少女お嬢様には日本語版の力をもってしても戻れなさそうではあるけど。

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最後のトワイのセレスティア様への手紙
「人の親切を無駄にしてはいけない・・です!」

違うよ!!トワイ!お前全然わかってねえーーーー!

セレ様「だめだこの子・・・・」


前にも書いたけど、これは番組からの教訓ではなく、あくまでトワイライトの感想。
最初のファッションショーでもトワイだけが「どこがヘンなの?」と思っていたように、最後まで何が問題だったのかまったくわかっていないということですね。
(アップルジャックですら空気読んだのに)

このマイリトルポニーの、「最後に教訓フォーマット」にみせかけて、番組の都合のセリフでなくキャラクターの個性そのまま出す手法はすばらしいね。
トワイのファッション音痴はいつか改善される日はくるのであろうか・・・・

ポニーTVは「英語でポニー」「リンゴを英語で言うとapple」
ポニースロットは「アップルジャック」
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コメント

タイテン:
うわあぁぁぁぁ
なんだか胸が痛んで静観できなかったんですが、それはクリエイターの生々しい実情が込められていたからなんですね。
私もクリエイター志望なので将来に一層の不安を感じざるを得ず……ラリティの陰から制作スタッフたちの
「こっちへは来るな、死んでしまうぞ」という悲鳴にも似た警告が聞こえたような気がします。
嗚呼、でもこの道以外に食える技能も無いし…実際スタッフたちはMLPで食えてる訳だし…
ま、どの業界でもよくある、大人の社会はこんなもん、という事で軽く受け止めるのが賢明でしょうか。

というかスカポン太様も数多の修羅場を耐え抜いて来られたのですね……お疲れ様です。
真空管:
秘密のヴェールに包まれた
スカポン太さんの生業が垣間見える素敵なレビューでした。
自分はこの回からラリティが好きになりましたね
AJもそうですが
傍若無人なポニーどもの注文に歯を食いしばって立ち向かう姿がグッときます。
orca:
「ポニーってゴロゴロするもんでしょー!?」の言い方がちゃんと動きと合ってて
良かったですね。訳的にも。
嫌なクライアント例と各ポニーのキャラクターがぴったり合ってて
すごく良く出来てる回でしたね。
そしてこれだけ無茶な注文でもキレないラリティさんは
やっぱり寛容と言うべきでしょうか。
lcs:
キャリアーが大変なことになったにもかかわらず、よく見たらラリティって友達を咎めたりはしないんですよね。
嘆いたり引きこもったりはしても「あんたたちのせいで!」とかは言わない。
そんなところも含めて「generousity」のシンボルなのかなぁ、って思ったり。
あと、DJ-PON3の3はPONYをPONEと書いてEを形が似ている数字3に変えたものと思われます。
読みはちゃんと「でぃーじぇいーぽんすりー」になってるんだけと「ぽにぃ(PONEEみたいに)」って読むファンもあったりです。
オクタヴィアは音楽のオクターヴからきてたり、ポニーの名前の元ネタはいろいろ興味深いですね。
スカポン太
>タイテンさん
この回はほんとに生々しくてw
仕事をするようになれば、必ず実感します。ええ・・・・
その時に、ああ、これがラリティの回のアレだったんだなと思ってくれれば。

>真空管さん
自分もこのエピからラリティがぐっと好きになりましたー
スタッフもこの回でラリティというキャラを完全につかんだ気がします。

>orcaさん
ラリティの落ち込むシーンは、原語では映画のパロディになっていて、古典映画の悲劇のヒロイン的な演技ばった感じなんですが、さすがにそのニュアンスは難しいので、日本語版はおおげさかつかわいく表現していてなかなかよかったです。
lcsさんが「generousity」って言っていますが、寛容というより、自己犠牲もいとわない優しさをもつという感じかな。

>lcsさん
あっ。そうか3はEのおきかえかあ。
PONもP0(ゼロ)nと表記されてたりするし。
DJ名で意味不明の数字がつく人をたまに見かけるからそういうノリかと思ったけど、そっちもそういうアルファベット置き換えなんだろうなあ。ふむ。納得できました!





空想の達人
もはやサブの吹き替え目当てでMLPを見ている私。

まさかゴセイジャーのラスボスまでもがMLPに降臨するとは…
バッファロー回のサンダーフーブス酋長も幻のゲッコウ様だし…

どこまで吹き替えが豪華になるんだ…
たつきん:
りんごをたべて、パワーアップル!
僕は、13話から見始めたから、12話までの曲しらん。

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