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有害都市とコミックスコードの話

> 『有害都市』7話での、アミコミのコミックスコードに関する解説が問題になっていますね。
にわかアメコミ映画ファンの僕も「アメリカンコミックスは多様性を失ってしまった」という描写に首を捻りました。理由はスカポン太さんの海外コミックスに関する記事を読んでいるので、アメコミは多様化しているのを知っているからです。 by 通りすが郎


えっと。話題になってるんですか?? いや、最近あまりネットもやるヒマなかったもので。
・・・・・・(調査中)

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有害都市 第七話より

ははあ。なるほど。
まあコミックスコードに関しては、政府からの規制じゃなくて、潰されかねないコミックス市場を守るための防御壁「出版社による自主規制コード」であって、日本で言えば「成人コミックシール」みたいな感じではありますが、節分で鬼を払う方相氏が、いつしか払われる鬼そのものになったように、コード自体が敵対対象と思われてるのも事実だから、まあいいんじゃないですかね。
 

問題は
「今のアメリカの商業コミックには~ ヒーローものしかない」
「星条旗に忠誠を誓うヒーローでなければ」とかの部分かしら。
アメリカ政府に怪物として駆逐対象になってるハルクがここで描かれてるのがツッコミポイントですねw

なんにしても、「かつてコミックパッシングによって多様性が失われた」というのならあながち間違ってないと思うけど「今の」とかいっちゃったのがまずかったんでしょうなあ。あははは。

そして僕は金髪ロリの萌アメコミ「レノーア」をそっと差し出す

と、ここまで言っておいてなんだけど、だいたい合ってるんじゃないかな、これ。
あ、いやいや、あのへんの主張が正しいかどうかってのはおいといて、作中の外人さんがあのセリフを言うのは別に間違ってないというか。

だって、アメリカの「日本のマンガ大好きアメリカ人」って、今でもああいうことけっこう言ってるよ。
4chanとかでもよく見かける。今でも。

だから、「あの人物のセリフ」としては間違ってないというか、正しいんじゃないかしら。
えーっと、パトリック・マシアスなんかも似たようなこと言ってたような。
まあ、それも10うん年前のセリフであって、今はまた意見が違ってるかもしれないけど。

マンガ好きさんでなくとも、一般のアメリカ人でも同じ認識けっこういると思う。
コミックスコードは大きなトラウマではあるけれど・・・・
その後、アメリカのコミック市場は「コミックブックショップによるダイレクトマーケット」手法の成功で、産業の復興と自由を手に入れていたわけだけど、同時にそれは一般層との隔離でもあった。
それゆえ、一般のアメリカ人はコミックに触れることなどなくなり、ウン十年前の「コミックなんてこども向けで幼稚で勧善懲悪ヒーローのパターンしかない」なんて多くが思っているし、アメリカでもパロディでコミックヒーロー風ネタが使われる時はそのパターンだったりするし。
実際のコミック市場はマニア化が進み、読者も内容も青年化し、エログロバイオレンス鬱だらけに・・・
このへんのステレオタイプなイメージと現実の乖離っておもしろいよねー

最近だと「ディズニー」の話題とも似てるなあ。
イメージだけで語られるディズニー作品とかさ、シンデレラとか何十年前だよそれ、今の作品見てないだろおい、みたいな。
どっちかと言えば、この話題なら、「三つ丸かいただけで巨額な著作権料請求される」の方が近いかしら。あれも過去の大きなトラウマで固定されて今を見てない、イメージの固定化ってことだし。

そんなわけで、これはこれでリアルなんじゃないですかね。
だって、日本の漫画家をスカウトしにくるアメリカ人て、本当にああいうセールストーク言いそうだもの。
それに、主人公の漫画家さんが描いてるマンガが「ゾンビもの」ってとこもポイント高い。
確かに!!確かに!! アメリカならゾンビものウケそうだものね!!
実際「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の英訳マンガもけっこう人気あったはずだよ。

いっそのこと、ゾンビものとかまったく規制のないアメリカに、主人公が移民するって展開もアリな気がしてきた。

ところで
アルフレッド・ブラウン氏はフレッド・パッテンかフレデリック・ショットあたりをモデルにしてるんかなーと、なんとなく思ったのでした。いやほら、名前の感じがね。

そんなわけで、これはそこまで突っ込まなくてもいいような気がします。
少年たちが得意げにコミック狩りをして、街頭で燃やしたのも事実だし、マンガ大好き外人が言いそうなセリフのリアルさといい、資料的にはけっこうちゃんとしてるような気がする。


「今の日本の商業アニメには二種類の作品しか存在しない。
一つは能天気な萌アニメ
もう一つは能天気じゃない萌アニメだ」

あ、やっぱり突っ込まれるか。

追記)
「有害都市」第7話のお詫び


略)
ある一つのジャンルが大きなシェアを占めている」という事実を、「それ以外のジャンルは存在しない」と言い切ってしまうことには、大きな隔たりがあります。この隔たりを越えてしまうのは、非常に無理のある行き過ぎた誇張表現であります。

にもかかわらず、「今のアメリカの商業コミックには、ヒーロー物しか存在しない」という台詞をアルフレッドに言わせてしまったのは、アルフレッドが「日本の漫画に心酔しているプロモーター」という立ち位置による贔屓(ひいき)目もありました。しかし何より、1950年代のアメリカで巻き起こった有害コミック追放運動の余波を、その実態より激しいものとして過剰に演出をしようとした作者の意図に原因がありました。
(中略)

アメリカンコミック文化そのものを貶める意図や、日本漫画市場の優位性を説きたいという意図によるものでは決してないということだけは、どうかご理解いただきたいと思います。

自分としては、ああいうキャラクターがああいう考えと発言をするのは、ありうる(そしてリアル)だと思うので、別にこれはこれでいいと思います。
ただ、本来のテーマを進めるために、本来の趣旨から脱線した論議がおきたことは訂正しておきたいということかと。
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コメント

通りすが郎:
ツイッターでも呟いたけど、この視点はなかったです。
目から鱗です。

>ハルク
僕もそこで「ええー?」とズッコケた。
ついでにキャップがいることも。
ミラクル:日本にだって
コミックコードみたいのあったよ。
まだ日本の漫画がアメコミの真似やパクリと思われてますし。
本当の表現の自由は永遠にこないかもとマイナス思考です。
誓いの魔球 というちばてつやが漫画担当のが 巨人の星 にパクられ越えられ云々だし、進めパイレーツもパクリになってしまうからww
野球漫画の序もこんなんだから日本もアメリカもお互い様ですね。
デスノートの大場つぐみの横に水木しげるがないとかパクリの基準問い詰めたらきりないし。
通りすが郎:連続投稿どうもすいません。
筒井哲也先生のサイトを見たら、自作のフランス語版を出版した出版社に呼ばれたパリ旅行記がありました。
そこでたっぷりと日本漫画好きなフランス人との交流がつづられていました。
これは漫画好き外国人との交流体験が「有害都市」7話に生かされている可能性がありますね。
スカポン太さんのカンは鋭いですね。
http://www.pn221.com/
スカポン太:
>通りすが郎さん
ほほう。
これは実際に同じような会話をした可能性はありますね。
これはこれで「こういう説明を聞いた」は事実でリアルなのかも。
C.ボロディン:
私もこの騒動のことはこの記事で知ったのですが、
漫画にそれらしくかかれている意見=作者の意見
ってついつい思いがちなものなんでしょうねえ。

ブーンドックスも、作者があとがきだっかなにかで「ライリーの言ってることは必ずしも僕の主張じゃないよ」と言ってて、周りから過激な人物だと思い込まれてトラブったこともよくあったんだろうなと思いましたw
mocca:
私も対外アメコミにわかですが、それでもこういった内容を多くの人が見る作品で言われるともやもやします。
ただでさえ、誤解されているという認識があるから余計過剰に気にしてしまいます。
スカポン太さんの寛大な精神が羨ましいです。

>大場つぐみの横に水木しげるがない
デスノートは水木氏の手帳の短編が元ネタと言われてますね。
個人的には悪魔くん千年大国ほか水木氏の作品全体の影響を受けてる印象を持っているんですけどね。
悪魔くん同様最期は警察に追い込まれて撃たれそうだなと思ったら、本当にそうなった時は少し笑いましたけど。
ソドミホモスキ:
>アメリカの「日本のマンガ大好きアメリカ人」って、今でもああいうことけっこう言ってるよ。

『隣の芝生は青く見える』 

それこそ秋葉原中央通り界隈の店や、その客層がヨイショするオタクコンテンツに対し
閉塞感覚えて久しい自分としては、この言葉を改めて実感するコメントで苦笑しました。
lcs:
「マンガ大好きアメリカ人がいいそうなセリフ」がすごくしっくり来ましたw
アニメーションの方でも、「animeこそ至高!アメリカのアニメなんて同じようなヒーローものか子供向けばっか」みたいに言う人って結構ありますしね。
確かにそういう表現だとしたらリアルさがありますが、アメコミファンがこのセリフ自体に対して、うーんそれはどうかな...ってなるのは仕方ないような気もします。
桜花Blossom:
コミックス・コードが出来た経緯を遡るのなら、1950年台の時代背景も考慮しないといけないんだけど(マーブルクロスNO6の記事をうpしたほうがいいかな)
たしかに現代では形骸化されているようです。
砕いて言えば「TVゲームが若者に悪影響を与える」という理屈と全く同じ。
フレデリック・ワーサムについて調べると面白いですよ。
スカポン太:
有害都市 第七話 一時公開停止になったみたいですね。
しばらくして修正版があがるようです。

まあ、作者としては別にアメコミをけなすつもりはなく、今のアメコミをよく知らないがゆえに、つい誰かの発言を鵜呑みにして、筆が滑っちゃった気がするので、今勉強中なんじゃないかしらね。

紙メディアと違って、すぐに対応できるのがwebのいいとこだなー
朱:
原作者の方の「お詫び」が掲載されたけど、ほぼスカポン太さんの考察通りでしたねw
ノンフィクション的な作品だからこの辺りのさじ加減が難しいんだろうなあ、と
ミラクル:ネウロの
温泉事件の犯人の逆ギレ自白がもっとヤババーだよ。
アメリカ嫌いなのかなぁな作者とそれでもアニメになり原作回収騒動やその回はなかったこと扱いしなかったからね。

イスラム国とかのせいで日本のアニメも延期や中止になったから、作品のリアル化も描写の匙加減次第かな?
スカポン太:
あ、「お詫び」掲載されましたね。
アメコミを貶めるつもりではなく、やはりマンガ的に劇的にするための演出だったのは本心だと思います。ちょっと筆がすべっちゃった程度の。
だから、あのキャラクターの言葉としてなら、別に修正する必要はないと思うけどなあ。
ああいう風に思ってる人も、ああいう発言する人も実際にいるわけで、それはそれで多様な意見が交錯するこの漫画らしさはアリだと思うので。
ただ、そういう本筋から外れるところで、論議になるのは本来の趣旨ではないので、訂正はおこないたいということかもしれません。
喜々助:
こんなことがあったとは全然知りませんでしたが
個人的には「日本の漫画・アニメは目が大きい絵しかない」ぐらいのレベルだと感じました
そうじゃないのもたくさんあるし!!って言おうと思えば沢山あって激怒するオタ絶対いるけど、表面的にはそうとしか見えないよねっていう
芸ニューの名無し:
よくある邦楽なんてくそ洋楽最高なんていってる日本人と同じなだけ
日本に心酔してる外国人がそれをやってるだけのただのあるあるネタ的な表現なのになに本気に捕らえてんのとしか思えないしょうもないこと
アメコミ好きだけど、好きな奴らにこんなレベルの話も説明しなきゃいけないのかよっていう辟易とした気持ちしか抱けなかった
山田与作:俺はヤンデレ寄贈魔!!
京都国際マンガミュージアムに「ミュータントタートルズ大全」を寄贈しました。すごいだろう?。
any:
山田与作は検索して辿り着いたあちこちのエントリーに対して、内容と関係無い宣伝のスパムコメントを張っていくだけの奴です。
目障りでしたら削除して下さい
山田与作:any!!いい加減にしなさい!!。
any!!いい加減にしなさい!!。人様のコメントにいちゃもんばっかりつけて、お父さんは悲しいよ!!。
OHRFM:
萌えなんてよ、なんのテーマもねぇじゃねえか!ていうかそれにすがりつくネトウヨの人とか、日本から追い出した方がいいだろ。あいつみてえな異次元交流とかがわかんねぇやつの方が問題だろ。ただでさえヒーローの方がマシなんだから。

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